センサー2台なら机の上に置くだけで事足りるのですが、3台でルームスケール前提ともなると設置方法考えなくてはいけません。
そこで、簡単に設置できる方法でOculus Riftのセンサーを追加設置してルームスケール対応環境にしてみました。
■簡単取付け・工具不要で家屋を痛めない雲台クリップ
センサーの追加で最初に悩んだのが固定方法です。立位や座位では机にセンサーを並べておけば事足りましたが、ルームスケールでは根本的に設置方法を考え直す必要があります。
最大限にルームスケールのエリアを確保しつつ、生活の中で邪魔にならない方法として、天上付近に固定するHTC Viveと同じように固定するのが望ましいのですが、Oculus Riftのセンサーは壁に固定する設計ではありません。
しかし、Oculus Riftのセンサー台座にはカメラ三脚等に取付けるために1/4-20UNCネジが切ってあります。
そこで、カメラ用品のアイテムを調べてクリップに自由雲台が付いたクリップ雲台を使うために取り寄せてみました。
このクリップ雲台は400円程度で販売されているものですが、場合によっては香港から出荷されることもあるので2~3週間待たされます。早く欲しいと言う場合は国内出荷の物もあるのですが、売価が高めに設定されているところが多いです。
今回は国内出荷の分が2個しか手に入らなかったので、2個分は香港出荷分となります。微妙に細部は異なるものの機能的には同等の商品でした。
製品によってはネジが緩くてダメという評価が出ていたのですが、確かに緩いものがいくつかあったので、増し締めをして雲台の固定を確実なものにしておきました。全く使い物にならないことも予定して1個予備として購入したのですが、どうやら杞憂だったようです。
このクリップ雲台ですが、自由雲台が付いているので角度を自由に変えることができます。角度調整は半球分あるためセンサーの取付けには十分といったところ。
クリップ部分は強力なバネが入っているので固定力はそれなりにありますし、滑り止めのゴム(最初はゴム臭が強い)もついているため、VRコンテンツをプレイする際の振動程度ではびくともしません。
Oculus Riftのセンサー固定は、自由雲台のネジに回して差し込み、回しきったら自由雲台の台部分を時計と反対方向に回して固定するだけです。
後は雲台クリップを部屋の天井近くに固定するだけですが、私の部屋には元々ホームシアターのスピーカー台があるため、そこに設置しました。
このようにセンサーは逆さまにしても正常に認識するので、天井側から床面に向かって見下ろすようにセンサーを固定しました。
追加のセンサーについては、壁にちょうど固定できそうな箇所があったのでそこに設置したのですが、後から設置位置を変更せざるを得ない状態になってしまいました。
■ルームスケールのための準備はHTC Vive以上の面倒さに・・・
Oculus Riftはセンサーを2台で使うのであればHTC Viveよりも簡単に準備が整いますが、センサーを3台にしたとたん敷居が一気に上昇します。
まず、フロント側のセンサーですが、2台の位置を最大限に離すためにUSB3.0の延長ケーブルを用意する必要がありました。
PCがセンサーの中央にあれば必要ないのかもしれませんが、右側センサー寄りにPCが設置してあるためケーブルを延長しないと届きません。
続いて、3台目のセンサーはセンサー単体に同梱されていたUSB2.0リピーターケーブル(信号増幅器付延長ケーブル)を利用して延長するのですが、5m以上ものケーブルをセンサーの後方に設置するようにするため、各センサー含めてケーブルの取り回しに手間取りました。
これで、ルームスケールの設定ができると一息ついたものの、本当の面倒はここからでした。
センサーの位置を全て移動したため、センサー含めて初期セットアップをすることになったため、初期セットアップを開始したのですが・・・
プレイエリア設定時にセンサー位置のNG、センサー角度のNGで30分以上もセンサー位置や角度の再調整で時間を割く必要がありました。
フロントのセンサーは両間隔が最大で3mまでとなっているため、センサー同士の位置を短く調整し、追加のセンサーについては特殊な構造の天井のお陰で何とかフロントセンサー側に寄せることができました。
センサーの設置位置についてはHTC Viveよりも一回り狭い位置取りになるため、部屋の大きさによっては部屋の端側にプレイエリアを用意しないと、追加のセンサーを天井に張り付けて設置することになってしまいます。
最大限までにセンサー認識範囲(プレイエリアではない)を取れるように設置しましたが、センサー位置は下記の図のようになりました。HTC Viveの認識範囲は部屋全てと言っても良いほどでしたが、Oculus Riftは部屋の5割程度の面積という結果でした。
※VIVEは幅3.8m×奥行き3.8m×対角線5.4mで設置、Oculus Riftは幅2.7m×奥行き2.9m×対角線4mで設置
プレイエリアの設定はこれよりも狭くなるため、ルームスケール性能についてはHTC Viveが圧倒的に有利になっています。元よりHTC Viveはルームスケール前提の設計なので、当たり前といえば当りまえですが・・・。
※Oculus Riftのセンサー認識エリアはセンサーで囲ったエリアよりも広い。ただし、センサーで囲ったエリアから出ていくほどトラッキング精度は低下していく。
とはいえ、VRゲームをプレイするためのエリアを含めて、必要とする範囲がほぼセンサーの認識エリアに入っているので概ね満足のいく結果になっています。
■Oculus Touchの認識精度が劇的向上
2センサーでプレイした時と同じ座位や立位については、センサーが離れたことによりトラッキングの精度が落ちる可能性も予想したのですが、従来と全く同じ状態でトラッキングの精度が低下しているとは感じませんでした。
センサーの位置は、机にセンサーを置いていた時よりも倍以上の距離に設置されていますが、この程度の距離であればトラッキング精度に大きく影響はでないようです。
続いてはルームスケールのVRコンテンツで検証してみました。RoboRecallとアリゾナサンシャインをプレイしてみたのですが、HMDもOculus Touchも共に正確にトラッキングしていました。
立位でもプレイは可能だったRoboRecallについては、Oculus Touchがセンサーから隠れるとトラッキングロストしてしまうことがありましたが、センサーを3つにしてからはOculus Touchを見失うことが無くなり快適にプレイできる環境になっています。
ただし、時よりHMDの動きに追従が遅れることがありました。これについてはHTC Viveでも希にある現象で、Oculus Riftでは2センサーでもHMDは360度全域でトラッキングが可能になっていることを考えると、PC側のスペック不足や赤外線を乱反射するものが部屋にある可能性があるのかもしれません。
全体的な評価としては、トラッキングについてはHMDもOculus Touchも実用レベルで、ルームスケールのコンテンツをプレイするには必要十分という精度になっています。
■まとめ
予想していた以上にセンサーのトラッキング精度は良好で、プレイエリアの設定はセンサーで囲った範囲内に留まるものの、トラッキング範囲についてはセンサーで囲った範囲を超えてもトラッキングします。
追加センサーの設置やセッティングについてはHTC Viveよりも手間がかかりますが、最初の1回だけなので、我慢して妥協せずに設置したいところです。
なにより、PCVRの醍醐味であるルームスケールに対応した環境が手に入るのですから、プレイ可能なVRコンテンツの幅が広がります。
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