DV-538

動画撮影に使うビデオ雲台として、前にVelbonのビデオ用雲台FHD-52Qを購入したのですが、一眼レフだとバランスが悪いのか、スムーズなパン・チルト操作ができずに不満に感じることがありました。

また、屋外撮影時に三脚を2台使用するのですが、まともな三脚が1個しかなく、くたびれてボロボロの三脚を騙し騙し使っていたこともあったので、両方の問題を一気に解決すべく新しいビデオ用三脚を購入してみました。
Velbonビデオ用三脚DV-538

今回購入したのはVelbonビデオ用三脚DV-538です。この三脚は写真撮影用ではなく、ビデオ撮影用に特化しており、雲台の作りが写真用雲台とは異なっています。

パンとチルトのみの操作

ぱっと見ただけでは写真用雲台と特に変わりがないように見えますが、パンとチルトのみの操作しかできない点が写真用雲台との大きな違いです。

その、パンとチルト操作についても、写真用雲台と違いオイルブリュードという構造により、ゆっくりかつ一定の速度で操作することができるため、滑らかな操作が期待できます。

DV-538ではFHD-51QNというビデオ用雲台を備えており、推奨積載質量は2.5kgと家庭用のビデオカメラと比較して重量のある一眼レフカメラに余裕で耐えられる積載性能を持っています。

パンとチルトのストッパー

雲台側面には、パンとチルトのストッパーが用意されており、ストッパーを絞めると雲台の動きが重たくなり、最終的に固定されます。

つまみは半回転も回す必要はなく、瞬時に必要な重さから固定まで調整が可能です。

反対側の側面

反対側の側面にはシュー固定用の大きなダイヤル、その前に小さなクイックシューのリリースノブ、下にハンドル固定用のつまみが用意されています。
シューは前後に移動が可能2
シューは前後に移動が可能

シューは前後に移動が可能で、小さなレンズから望遠レンズまで、重心を適切な位置に調整することができるため、チルト操作時のスムーズな動きを妨げにくくなっています。

一眼レフは、望遠レンズでなくともレンズが重たく、重心が前方に傾きがちなので、この機能があるだけで操作性が随分と変わってきます。

クイックシュー

クイックシューはリリースノブを回すことで外れますが、シュー固定用ダイヤルを緩めておく必要があります。構造上仕方ないのですが、この点は少し使いにくいと感じるところ。

写真用雲台のクイックシューが即座に外れることを知っていると、もうすこし手軽に使えるような構造にして欲しいと思ってしまいます。

クイックシュー裏側

シューの反対側はカメラ取付け用のネジを回すダイヤルとビデオボス部が見えます。

付属のねじ回し

カメラの取り付け時に指でダイヤルを回して固定しようと思いましたが、少し緩めにしか固定することができなかったので、付属のねじ回しか小銭で回す必要があります。ここも、もう少し手軽にカメラが取付けられるといいのですが・・・。

ちなみに、カメラにシューを付けただけの状態で台の上などに置くと、シューが大きいため安定してカメラを置いておくことができます。これは、カメラ用雲台のシューにはないメリットです。

ハンドル1
ハンドル3
ハンドル2

ハンドルについては調整が可能で、軸を360度回転できる他、反対側に付け直すことも可能です。

FHD-52Qはハンドル固定用のネジがいつの間にか緩んでいたことが多々ありましたが、FHD-51QNはその点しっかりと固定されたままなので安心して使えます。

水準器

FHD-51QNには水準器が用意されているのですが、シューを傾けておかないと真上から覗けず、三脚の設置時に即座に水平を確保するのには適していません。

元々、ビデオ三脚の多くがどっしりと構えて撮影することが前提の設計なのでしょう、水平が確保できない箇所での撮影は脚の高さ調整することで水平を取るしかありません。しかし、三脚を置く場所が頻繁に変わる環境ではこれがとても面倒です。

屋外の撮影では、水平が確保できないことが殆どなので、動画撮影時は写真用雲台の上にビデオ用雲台を載せて水平を確保するという変態的な方法で運用していましたが、せっかく導入した動画専用三脚ですから、近いうちにレベリングユニットを挟んで運用しようかと思っています。

エレベーターストッパー

脚部にはエレベーターストッパー。

開脚調整ノブ

その近くに開脚調整ノブがあります。

開脚調整ノブ2

開脚調整ノブ3

この開脚調整ノブは3段階式で、ノブを外側に押し込むことで脚の開閉角度を広げることができます。

三脚の角度

ローポジションにする際は、エレベーターパイプのロアーコラムを取り外す必要がありますが、ローアングル撮影やマクロ撮影時に活用できます。

ロアーコラムの先端

なお、ロアーコラムの先端にはネジがありますが、ここにエンドフックを取付けておきました。

思っていたよりも大きなサイズ

思っていたよりも大きなサイズのフックでしたが、三脚の重量を増加させるためのストーンバッグ等が付いていないため、このフックに物をかけて三脚を安定させようと思っています。

エンドフックを取付けると・・・

ちなみに、エンドフックを取付けるとエレベーターを最下部まで下げて使うことができなくなります。

強度は必要十分

三脚のパイプはアルミ製。縦にリブが入っており強度は必要十分。脚だけではなく、他の箇所も金属性のため剛性はしっかりとあります。

石突とロック

石突は屋内外で使えるゴムタイプ。脚ロック方式は瞬時に固定が可能なレバーロック式となっています。

重量

重量は実測2.125kgと同程度のカーボン三脚と比べると重めですが、三脚にカメラを固定したときの安定性を考えると、もう少し重量が欲しいと感じます。ただし、軽いので移動の際は楽です。

EOS Kiss X7iをDV-538に載せて

愛機のEOS Kiss X7iをDV-538に載せてみました、三脚とカメラの重量バランスにより、振動によるブレが出てきやすい感じはあるものの、使用している18-55mm程度のレンズなら問題はありませんでした。

望遠レンズを使う事は無いですが、もし、ブレるようであればフックに重量物を取付けて安定性を上げてしまえば良いだけのことです。

操作性については、ロックを全開放にした際のレバーの重さに差がある点がやや気になります。パン操作時のレバーの動きがチルト操作と比べてやや重めで、ロック全開放近くの領域を使う事もあるので、パンとチルトを同時に操作する際は慣れが必要です。

それ以外は特に不満に思う箇所はなく、今後の使用に期待ができるものでした。

試しに、いつも通りの物撮り撮影を、いつも使用しているEOS Kiss X7iで撮影してみたところ、スムーズな動きが幸いして1発でOKになったシーンが増えました。

特に、パンやチルト時の操作が非常にスムーズで、不安定になりがちだった操作速度が安定して定速を出しやすくなったのが大きく影響しています。

今までFHD-52Qで撮影したときの効率の悪さが嘘のようで、撮影機材に適した三脚(雲台)選びの大切さを改めて痛感したところです。