NASもSSDへ交換

既に私の使う全4台のPCはSSDに交換済みで、快適なPC環境になっているのですが、NASだけはコストの関係でHDDのままで運用していました。

一度SSDに慣れてしまうと速度はもちろんですが、HDDの唸るような騒音が余計に目立ってしまうため、寝室を兼ねる自室でNASを運用していると、就寝時に唸る音が耳に残り心地よくありません。

かねてからSSDに交換することは考えていたものの、コストが高いため躊躇していましたが、1TBクラスのSSDを2個用意してNASもSSDへ交換することにしてみました。

今回、SSDに交換するにあたり用意したSSDはSanDisk SSD UltraII SDSSDHII-960G-J25です。

SSDの価格は落ちてきているとはいえ、単品で4万円近くするため、予算の関係で2ヶ月に分けて購入し、前回の購入時にPCで使用した場合のベンチマークテストを掲載しています。

SanDisk SSD UltraII SDSSDHII-960G-J25

SanDisk SSD UltraIIシリーズはコストパフォーマンスが高く、メインPCのストレージ用として480GBモデルを、依頼品のノートPCへ240GBモデルを組み込んだ実績があります。

さて、そんなSanDiskのSSD UltraII SDSSDHII-960G-J25ですが、今回はあくまでも騒音対策としての導入であり、速度に関しては期待していません。

というのも、NASはSATAに直接接続して使うのとは違い、I/Fの変換、通信プロトコル、NASのCPU性能、LANのリンク速度などがボルトネックとなり、100%どころか半分の性能すら出せません。

高価な業務用は別として、個人向け、SOHO向けのNASに関しては転送速度の向上を期待してNASのストレージをHDDからSSDに換えるのはコストパフォーマンスの点からいえば避けるべきです。

DS212

それでは、今回SSDに交換するNASの登場です。ずいぶんと前に紹介したSynology製の2ドライブNAS DS212です。

この手の、ストレージを交換できるNASは自由度が高く、DS212は当時としては比較的高速なうえ、静音性が高いこともあって今も愛用しています。

Synology製のNASは設定をファイルとして保存しておけるため、HDDからSSDに交換するにあたり、あらかじめ設定をファイルにバックアップしておきました。こうしておくと交換後の作業が楽になります。

ストレージベイからHDDを取り出す

ストレージベイからHDDを取り出します。ストレージを固定するフレームには防振ゴムが付いていますが共振は防げるものの、HDD自体が生み出す低い唸りは防げません。

防振ゴムの劣化

最近は、その防振ゴムもへたってきたのかフレームが共振することが度々ありましたが、SSDに交換すればその心配も無くなります。

フレームに取付け

SDSSDHII-960G-J25をフレームに取付けたらストレージベイに戻します。

PCからセットアップアプリを立ち上げてDS212にデータを送り込んだら、ストレージの設定後、NASの設定を復元して作業完了です。なお、今回はストレージの容量と転送速度を求めてRAID0でアレイを組んでいます。

静音化については予想通り大成功です。元々、静音モードで動かしているので静かなのですが、SSDにするとファンの音だけになり、少し離れると音では動いているのか分からないほど静かになりました。

しかし、実用性については実際に計測してみないと分からないため、ベンチマークテストをしてみることにしました。

HDD SSD
          HDD                  SSD          

結果は4K ランダムQ32T1や4Kランダムの数値に伸びが見られるものの、シーケンシャルについてはPCでSSDに交換した際に見られるような劇的な伸びは出ていません。

※接続環境:メインPC –Allied Telesis CentreCOM GS908L(HUB) – DS212 (1Gbitでリンク)
※メインPCの環境
MB: ASUS P8Z68-V
CPU:Intel Core i7 2600K
RAM:A-DATA AX3U1600GC4G9-2G 2セット(16GB)
VGA:玄人志向GF-GTX570-E1280HD
PSU:ENERMAX EMG900EWT
OD:Pioneer BDR206JBK
SSD:crucial MX100シリーズ CT512MX100SSD1
SSD:SANDISK Ultra II SSDシリーズSDSSDHII-480G-J25C
CASE:Lina-Li PC-V2100 PLUS II(BK)
FAN:12cmケースファン×6
CPUクーラー:Corsair Hydro H60
FC:Scythe 風Q
SU:M-Audio DELTA1010
OS:Windows7 Profesional 64bit
※NAS設定:RAID0・ストレージの書き込みキャッシュ無し・ジャンボフレーム無し・SMB2およびラージMTUにセット
※PC設定:ジャンボフレーム無し・Large MTU 有効
※ジャンボフレームやストレージの書き込みキャッシュを切っているが、上記の設定が最もパフォーマンスが良かった。

先ほども記載したとおり、PCにSATAで直接接続するよりも遙かに多くの行程を経てデータの読み書きが行なわれるため、SSDのパフォーマンスを発揮するには家庭向けのNASはまだまだ進化の途上にあるのではないかと感じます。

さて、SSDに交換した場合のメリットについては騒音だけでなく、温度と消費電力もあります。


HDDアイドル室温26度

HDDアイドル時(室温26度)

SSDアイドル室温26度
SSD アイドル時(室温26度)


温度についてはアイドル時HDDが室温プラス8度に対して、SDSSDHII-960G-J25は室温プラス2度。

8度

HDDアクセス時(室温25.8度)

7度

SSD アイドル時(室温25.7度) 

アクセス時HDDが室温プラス約12度に対して、SDSSDHII-960G-J25は室温プラス約8度と、稼働時の温度についてはSSDに軍配が上がります。

温度が上がると冷却のためファンが高回転して騒音が大きくなりますが、この発熱ならファンの騒音は気にせずに済みます。
 
SSDアクセス時

消費電力についてはアイドル時HDDが19Wに対してSDSSDHII-960G-J25は13W。

HDDアクセス時


ストレージアクセス時はHDDが24Wに対してSDSSDHII-960G-J25はアイドル時と同じ13Wと大きな差が出ています。

スリープ時も計測してみたのですが、HDDが8Wに対してSDSSDHII-960G-J25は9Wと、こちらはSSDが1W程高い数値になっていました。

予想外だったのがスリープからの復帰時間で、HDD使用時は1ドライブごとにスピンアップを完了してからスリープ復帰に入るのに対して、即座に使える状態に戻れるSSDは体感で半分近く早くスリープから復帰できるように感じます。

静かなNASにしたければ

今回はSSDの全てのメリットを享受できるわけではないため、コストパフォーマンスの点からするとおすすめはできませんが、静音化についてはさすがSSDといったところです。

コストは相当高いですが、NASを静かにさせたいけど設置した場所から動かせないという条件であれば有効な手段です。