ASUS-MeMO-Pad-7-(ME176)

タブレットPCは今のところ必要ないかなと思っていたのですが、ウェアラブルカメラで撮影した映像を確認するためにmicroSDXCカードを読み込め、かつAVCHDを余裕で再生できる性能のタブレットPCを探すことにしました。


使用目的がただ一つということで、あまり費用もかけたくないけど性能はできるだけ良い物が欲しいというなか、ASUS MeMO Pad 7 (ME176)が私の目にとまり、調べてみると評判と人気が高かったので実際に入手してきました。
 
この手のことは仕方ないかと

注文後直ぐに手元に届きましたが箱を開けて撮影しようと構えていると、本体を傷から守るカバーにホコリやチリ、折れた跡などがついており、カバーを剥がすため指で摘む箇所も折れていました。低価格の商品なのでこの手のことは仕方ないかと思いますが、気にする人は要注意です。

付属品

付属品は本体の他、充電器とmicroUSBケーブル、説明書類です。

充電器

充電器はUSBコネクタ差し込みタイプ。

出力

出力側は5V 1.35Aっとなっています。
microUSBケーブル

microUSBケーブルは95cmの長さのものが同梱されています。
今回は無難な黒を選択

色のバリエーションが複数用意されていますが、今回は無難な黒を選択しました。デザインが酷くても黒色であれば少しは高級感が出てごまかせるかと思ったのですが、タブレットPCとしては可もなく不可もなくといったデザインでした。
前面カメラ

表面にはASUSのロゴと前面カメラが用意されています。コスト削減のためか照度計は用意されていません。

マグネットスリープ搭載

低価格でもマグネットスリープは搭載していますので、対応したカバーと組み合わせれば開閉に合わせてスリープ状態を変更してくれます。
背面
背面はラバー塗装のようなマット加工がしてあり、滑りにくくなっています。指紋は目立ちませんが黒色のモデルだと皮脂はどうしても目立ってしまいますので、気になるようであれば白色のモデルを選択するといいかもしれません。 
カメラ

背面には本体中央よりにカメラが用意されています。周辺が若干盛り上がっており、このままカバーをせずに机に置くとカメラが机に接触してしまいます。

勝手な憶測ですが、わざわざフレームを盛り上げてまで取付けたのは、薄いカメラを用意するほど原価設定に余裕がなかったのかもしれません。

ちなみにこのカメラですが、前面共にメモ用程度に使うには十分ですが、デジタルカメラの代わりにつかうには画質がもの足り無いと感じるレベルです。

なお、高負荷時には背面を正面に見て、カメラの左側がかなり熱くなります。 

スピーカーはステレオ

スピーカーはステレオです。音質については可もなく不可もなくといったところ。
 
microSDカードスロット

側面にはmicroSD・microSDHC・microSDXC(仕様上では最大64GB。ただし、128GBも使えたとの情報あり)に対応したmicroSDカードスロットがついています。

microSDXCに対応

ここは個人的には重要視していたところで、最近のデジタルカメラやデジタルビデオカメラで使用することができるmicroSDXCに対応しているので、私が持っているウェアラブルカメラで撮影した動画ファイルにアクセスすることができます。

SDカードへのアクセスについてはデフォルトのファイルマネージャー限定ですが、読み込みだけでなくSDカードへの書き込みも可能です。

スリープ・ボリュームボタン

スリープ・ボリュームボタンは右側面に用意されています。

本体上部

本体上部には内蔵マイク、microUSBコネクタ、ヘッドフォン端子が用意されています。

microUSBコネクタは渋めで、コネクタを差込む際には若干強めに押し込まないといけません。

USBホスト対応

microUSBコネクタはUSBホスト対応なので、USB OTGケーブルを用意すればUSBメモリやカードリーダを接続して使うことができます。

こちらもSDカードスロットと同じく、デフォルトのファイルマネージャーのみSDカードへの書き込みも可能となっています。

手持ちのNexus7(2012)を更新するために買ってきたわけではないものの、Nexus7(2012)は読み込みに専用のアプリが必要で、書き込みにいたってはNGだったため、これはかなり嬉しい機能といえます。

実測で293g

重量は実測で293gありました。凄く軽いという感じではないものの、手でもって作業するには重たすぎずという重量です。

厚み

本体の厚みは仕様では9.6mmとなっていますが、この厚みはおそらく盛り上がっているカメラ部分の厚みで、実際に計ってみた結果、周辺部の厚みは9mmを切っています。

持ちやすい

厚みが薄いとに手で持ったときに持ちにくいと感じることがあるのですが、 ASUS MeMO Pad 7では背面のマット加工のおかげか持ちにくいと感じることはありません。

ドットは普通

ディスプレイは1280×800ドット。ドット細かさはRetinaディスプレイと比べると流石に見劣りするものの、この価格帯としてはドットの荒さは良いほうだと感じます。

何気に10点マルチタッチに対応しており、タッチしたときの反応、精度ともに申し分ありません。
 
インテル入ってる
 
スマートフォンやタブレットPCではARM系のCPUがほぼ独占しているのですが、ASUS MeMO Pad 7は珍しくIntel製のCPUを搭載しています。

搭載CPUはAtom Z3745で、Intelの得意とするx86アーキテクチャCPUになるのですが、Android端末ではARMアーキテクチャを採用したCPUがほぼ独占しており、異なるアーキテクチャのCPUによりアプリの互換性に問題が発生するリスクが指摘されていました。

実際に使ってみた結果、私の使い方では1件不具合があったものの、アプリの互換性に問題が発生することはありませんでした。
※Perfect Viewerで希に画像が乱れる不具合があり。

これは、アプリ側でx86アーキテクチャに対応させているものもあるのかもしれませんが、Houdini Binary TranslatorというARM用のバイナリをX86のバイナリに変換するシステムが組込まれている可能性もあるのかもしれません。

ASUS MeMO Pad 7ではないものの、詳しく調査しているところではx86アーキテクチャのAtom Z2460で約8%の非互換アプリがあるとの情報を公開しているかたがいました(別の調査ではAtom Z2460で約5%という結果も)。
※ARM系のCPUを搭載したものであってもアプリが対応していないものがあるため、非対応アプリの原因が必ずしもCPUのアーキテクチャに起因しているものではないことを付け加えておきたいところ。

アプリの互換性に関しては今のところIntel CPUだからといって致命的な問題が発生することはなく、気にするほどのことではないように思います。むしろAtom Z3745の性能に目を向けるべきだと思います。

AnTuTu Benchmark

これがASUS MeMO Pad 7のベンチマーク結果(AnTuTu Benchmark)です。ベンチマークの結果は最近のハイエンドスマートフォンに迫るほどの結果で、この価格帯のタブレットPCでこれほどの性能のCPUを積むのはかなり挑戦的といえます。

CPUの周波数

Atom Z3745は定格で1.33GHzのCPUですが、高負荷時には1.86GHzまで周波数が上昇し処理性能が向上します。逆に低負荷時は532MHzまで周波数が下がり消費電力を抑える動きをします。

3DMark

こちらは3D描写の性能(3D Mark)です。IntelのCPU内蔵グラフィック性能はWindows PCでは今ひとつという評価なのですが、Androidでは優秀な部類に入るのではないでしょうか。

アスファルト7
試しに3D系のゲームとしてアスファルト7をプレイしてみましたが、カクつくこともなくスムーズに動いていました。

搭載メモリが1GBと少なめなため少し不安はあったものの、メモリの解放処理と高いCPUの性能がスムーズな操作をもたらします。
動作は快適

ベクターデータが多めのPDFを拡大縮小する際は若干カクついたものの、ネット、電子書籍、動画再生(Youtube・ニコニコ動画)、Office系ファイルといった普段使うものはスムーズに動作していました。

操作やアプリに関しては高性能なCPUにより、使っていて気持ちのよい動きをすると感じることろです。

Windows タブレットPCでは緩慢な動きで今ひとつパッとしないAtomでしたが、Androidとの組み合わせはかなり良いと感じます。
 
動画再生で稼動時間テスト

CPUが高性能な分、バッテリーの減りについては早いと感じます。特にCPUの性能が高い分、負荷のかかる作業をするとバッテリーはぐんぐん減っていきます。

仕様では720pの動画を再生して9時間となっていますが、これはGPUサポートあっての稼動時間で、完全に同条件ではないものの720pの動画を再生して8時間40分稼働し続けることを確認しています。
※計測は画面光度と音量を約50%(MX動画プレイヤー上で7/15)に設定し720p H.264 8Mbpsの動画をMX動画プレイヤーで連続再生

この際、CPUの負荷は4コア中2コアが使用率20%、残り2コアが無負荷で周波数は最低値を示していたので、CPUに負荷のかからない作業であれば仕様どおり長時間の使用ができることになります。

ディスプレイ光度の自動調整はない

バッテリーの減りが早い原因としてはCPUの性能に起因するものもあると思いますが、最も電力を消費するディスプレイの光度を自動調整する照度計がないのも原因としてあると思います。 
省エネ設定

その点を考えてか、省エネ設定を簡単に設定できるアプリが用意されており、簡単に設定を切替える事ができるようになっています。

他にも気になる点としてGPSと電子コンパスの精度が低いという問題があります。Googleマップにおける誤差範囲の円が大きい、位置がずれているという症状が出ており、詳しく調べてみることにしました。

まず、GPSの信号感度を測るためGPS Testを使用しました。その隣で同じくGPS TestをNexus7(2012)で実行してGPSの信号感度(SNR)を比較してみます。

nexus7のGPS感度MeMO Pad 7 (ME176)のGPS感度
       Nexus7(2012)         ASUS MeMO Pad 7(ME176)  

結果はNexus7(2012)が平均36.7のSNRに対してASUS MeMO Pad 7は28.1のSNRとNexus7と比較して20%も低い感度で、Nexus7(2012)が10個中10個のGPS衛星を掴んでいるのに対して、ASUS MeMO Pad 7は11個中6個のGPS衛星しか掴めていません。

電子コンパスの針が震える

電子コンパスについても問題があり、机の上に静置しておいてもコンパスの貼りが小刻みに震える現象が出ています。

これらの現象は今後のアップデートで改善される可能性はありますが、現状では正確な位置情報が前提のナビ系アプリを使うには不安を覚えてしまいます。

最後の気になる点は謎の異音です。突如としてブツッという音がなるのですが原因は全く不明で再現性もありません。いまのことろ4日間使用して1回だけ発生しまたが、どうやら他のユーザーも同じ症状が出ているようです。
4 Kitkat

ASUS MeMO Pad 7には最新のAndroid 4.4 KitKatが搭載されていますが、従来のAndroid OSからすると仕様変更により不便になった点も見受けられました。

まずは外部ストレージへのアクセス制限が厳しくなった点です。

これによりSDカードやUSBフラッシュメモリなどの外部ストレージへアプリをインストールすることができなくなっています。また、アプリがそれら外部ストレージにファイルやフォルダを作成することもできません。
※デフォルトのファイルマネージャーは外部ストレージに書き込みが可能

フラッシュ完全非対応

また、サポート打ち切りになったものの、apkによるインストールと外部プラグイン対応のブラウザの組合わせで対応したフラッシュも対応せず、フラッシュを多用したページやフラッシュゲームはフラッシュ部分がかけて表示されます。

これらの件についてはASUS MeMO Pad 7が原因ではなく、OSであるAndroid 4.4 KitKatによるものなので、他のAndroid 4.4 KitKatを搭載したスマートフォンやタブレットPCでも同じことが起こるはずです。

AVCHD規格の動画を再生

最後に個人的に最も気なっていた動画の再生ですが、YouTube用に編集したデータ(1080p H.264 10Mbps)は難なく再生。最重要視していたデジタルビデオカメラ(SONY HDR-AS100VPSモード)で撮影したAVCHD規格の動画もものともせずに再生し、今回の目的にかなうタブレットPCだったことが証明されました。

ついでにtsファイルの再生も試してみましたが、ロカールストレージだけでなく、NASに保存したtsファイルをネットワーク越しに再生することもやってのけるなど、2年前のNexus7(2012)からすると進化したなと感じるところでした。

まとめ

Android 4.4 KitKatの仕様とGPSと電子コンパスの件は残念ですが、それ以外については特に問題は無いと感じる完成度でした。

特にAtom Z3745の性能は目を見張るものがあり、正直この価格で良いのかと思うほどコストパフォーマンスは高くなっています。

最終的な評価は遊び用◎仕事用○車載ナビ△といったところで、7インチのAndroidタブレットを探している人がいたら迷わず進めたくなる1台でした。