従来より使用していた車載PCが故障したため、どうしようかと思いながらもずっと放置していたのですが、タブレットPCを1DINオーディオスペースに搭載できるキットを発見したので、愛車のコペンにタブレットPCを車載してみました。

結果は大成功で、車載PCが担っていた機能をほぼ持ちあわせることができ、音楽・動画の再生はもちろん、スマートフォンとテザリングで繋げばナビにもなるうえ、細かな設定のできるAndroid OSを搭載したタブレットPCを使ったので自動車のキー連動までも実現することができました。

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そもそも、車載PCについてはiPadがまだ世に出ていない時代(当時はPentium MとVIAのMBを使用していた)に組み上げたもので、時代と共にAtom搭載MBを経てCore2Duoを搭載できるMBと電源を交換するに至りました。

しかし、Core2Duoを搭載した3回目の組み直しの際に、音楽や動画の再生なら、iPadを搭載した方が無難という結果を私自身が出しています。

そこから車載PCを続けるべきか、タブレットPCにするべきか迷っていたのですが、故障したうえタブレットPCを車載する環境が整っていることが分ったこともあり、タブレットPCにしようと決断しました。

プロバイルのタブレットPC車載セット2


タブレットPCを取付けようと思った一番の動機はプロバイルのタブレットPC車載セット2を見つけたことです。

吸盤タイプのタブレットPC車載マウントは数多くありますが、愛車のコペンには取付けるスペースが無く、また見た目も良いとはいえません。

特にスポーツサスペンション搭載車は車体の揺れが激しいため、走行中に外れることはあってはならないことです。その揺れに耐えられるか疑問だった吸盤タイプについては敬遠していました。


コペンにNexus7を車載


しかし、プロバイルのタブレットPC車載セット2はオーディオやナビを取付けるDINオーディオスペースにネジで取付けるため、強固にタブレットPCをホールドしてくれるはずだと思い採用を決定しました。

しかし、実際手に取ってみると、タブレットPC車載セット2は強固なホールド性だけでなく、自在な角度に調整できるチルト・スイベル・マウントと、ワンタッチで取り外し可能なワンタッチ・アダプター4 QuickFixにより取り回しも良好なマウントでした。


10秒で取り外し可能

車載PCの際は故障で外そうにも大がかりな作業で大変でしたが、タブレットPC車載セット2では10秒で取り外し可能です。

タブレットPCは全ての機能がタブレットPCに集約されているのでメンテナンス性は抜群で、最悪、故障で使えなくなっても代りのタブレットPCを取付ければ、また同じように使えるため、トラブル時の対処時間もかなり短縮されます。

取付け風景

取付けに関しては電源系統を触る必要がないので、車に少し詳しい人であれば簡単に取付けられます。大抵の車であれば、オーディオの取付け方法はネットで公開されているので、見よう見まねでとりつけられると思います。

ANKERのシガーソケットUSB電源アダプター

走行中はタブレットPCに電力を供給するため、ANKERのシガーソケットUSB電源アダプターを使っています。

5V2Aの急速充電が可能

使用しているNexus7は5V2Aの急速充電が可能なので、通勤時間の短い時間でも多くの電力を供給してバッテリーを充電できるように5V2Aに対応したANKERのシガーソケットUSB電源アダプターに白羽の矢が立ちました。

前からANKERのモバイルバッテリーを使っていますが、このメーカーは安いなりにはしっかりしているものを販売していると感じたことも要因です。

他のUSB電源アダプターよりは値段が高めですが、何処のメーカー製か分らないうえ、保護装置も付いていない安物のUSB電源アダプターはトラブルの原因となるので、ここはケチってはいけない箇所です。

電源系統についてはUSB電源アダプターか、それともタブレットPC側のDC-DCコンバーターの性能かオルタネーターノイズは一切入りません。

車載PCではモニターにオルタネーターノイズが入りましたが、今回は対策すらする必要がないとは意外な誤算でした。

ステレオミニプラグ延長コード

オーディオラインについては元々車載PCのために外部音声入力端子を取付けたヘッドユニットを付けいてるので、その外部音声入力に音声が入るようにアダプターをかましただけです。

外部音声入力端子はコアキシャルなのでコアキシャルからコアキシャル延長ケーブル、コアキシャルからステレオミニプラグ変換アダプタ、ステレオミニプラグ延長コードでNexus7に接続となっています。

材料が手持ちの物だったので、無駄にケーブルが長かったりします。ケーブルが長いほどノイズを拾う原因となるので、参考にされる場合は短いケーブルを使った方がほうがいいです。

ステレオミニプラグ

音声はBluetoothでレシーバーに飛ばすことも考えましたが、レシーバーの電源管理とNexus7のバッテリー消費を考えるとアナログ的ですがステレオミニプラグを使うのが正解だと思います。

ただ、Bluetoothレシーバー機能を搭載したヘッドユニットがあるのであれば直接ヘッドユニットにBluetooth経由で音声が飛ばせるため、この環境であればBluetooth接続に可能性を感じます。

Nexus7(2012)

使用しているタブレットPCは2012年モデルのNexus7 16G Wi-Fiモデルです。

AndroidタブレットはWi-FiモデルでもGPSセンサーを搭載しているものが多く、Nexus7もGPSセンサーを搭載していますので、テザリングでスマートフォンと接続すれば無料で最新の地図が使えるGoogleナビが使用できます。

困ったことにGoogleナビのアプリ表示が消える症状が出てきたので、こちらを参考にさせてもらいGoogleナビを表示するように設定しています。

Google Play Music

音楽再生はGoogle Play Musicで再生しています。

Google Play MusicはGoogleナビと連動するので、Googleナビが音声案内をする際は音楽のボリュームを自動的に下げてくれます。その動作はナビそのものです。

MX動画プレイヤー

動画再生はMX動画プレイヤーを使用しています。

動画はほとんど見ないのであまりMX動画プレイヤーの出番はありませんが、操作性は動画を見て分かるとおりかなり良好なので操作に戸惑うことはありません。

ちなみに動画中で再生しているのはH.264 HD1080p 約10Mbpsの動画で、HD動画でもスムーズに再生できるので、動画共有サイトで公開されている品質の動画はほぼ再生できます。

ファイルの転送については、タブレットPCを取り外しPCと接続して転送するなり、USBホスト機能でUSBメモリから取り込むなり、Wi-Fi経由でNASにアクセスして取り込むなり、Dropboxなどのクラウドストレージを経由するなり自由自在です。

Tasker

キー連動についてはTaskerというアプリを使用し、自動車のキー連動を実現しています。ただ、rootを取らないとTaskerがスリープの解除と移行は実行できないため、スリープの解除と移行はAndroid OS側で設定しています。

詳しい設定は別の記事で公開していますが、おおまかにに説明すると

1.キーをONにするとシガーソケットからUSBケーブル経由でNexus7に電力が供給される

2.自動的にスリープ解除(OSデフォルト機能)

3.設定でスリープ解除時のロックをしないように設定をしているため、即ホーム画面へ

4.2.の時点で同時並行してTaskerが画面がON(画面ONをフラグにしている)になったことを受けてタスク発動

5.TaskerがGoogle Play Musicを立ち上げ、再生ボタンを押すというタスクが続けざまに実行され音楽を再生する

6.USBから電力供給を受けている際はスリープしない設定(開発者向け設定)なので画面は表示したままに

7.キーをOFFにするとシガーソケットからUSBケーブル経由でNexus7に供給していた電力が絶たれる

8.15秒後自動的にスリープに移行(OSデフォルト機能)

9.画面が消えたことを受けてTaskerがタスク発動

10.TaskerがGoogle Play Musicを立ち上げ、停止ボタンを押すというタスクが続けざまに実行されて音楽を停止する

という流れを自動的に実行することでキー連動が実装されています。

アップデート中

iPadではここまで細かい設定や調整は無理ですし、Wi-FiモデルはGPSセンサー非搭載なのでナビに使えません。車載専用にするのであればAndroidタブレットが圧倒的に有利です。

GPSスピードメーター

GPSと各種センサーがあるのでGPSスピードメーターアプリを使い、横や加速G、速度を表示するというスポーティーな画面演出も実現できます。

取付け箇所が奥まっておりGPSの信号を受信しにくい環境なのですが、問題無くGPSの信号をキャッチしており、ナビを試しに使用してみたのですが正確にナビゲーションしてくれました。

便利なこともあるのですが、いくつか問題点もあります。

タブレットPCはスリープ時も微弱ながら電力消費し続けています。この時間が長いほどバッテリーは減り続け、からになった時点でしばらく充電しなければ起動ができません。

この問題に対しては電源管理ウィジェットを使いWi-FiとGPSを必要時以外OFFにしておき無駄な消費電力をカットします。

それでもダメな場合はモバイルバッテリーで充電、もしくはタブレットPC自体を外して屋内で充電することで対処します。

Wi-FiとGPSを切っていればスリープ時の消費電力は一晩で僅か1%程度に抑えることができるので、通常の使用ではバッテリーが空になることはないでしょう。

次に盗難対策としてGoogleアカウントは車載タブレットPC専用のアカウントにしています。

Google Play ギフトカード

有料アプリを購入する際はGoogle Play ギフトカードでチャージして使用する事でGoogleウォレットを切り離しておきました。メールなども設定していないので盗難にあっても本体の損失だけで済みます。

便利な分、悪用されると個人情報やクレジットを勝手に使われたりと被害が大きくなりますので、車載し続ける場合、この線引きはしっかりしておかないといけません。

このように取付けと運用自体はさほど難しくありませんが、それ以外のところで結構時間や手間をかけて実現しています。しかし、車載PCから変更して良かったと感じる部分が大きく、搭載した甲斐は十分にありました。

搭載して大正解

画面は綺麗になりましたしタッチセンサーの感度も良好、環境に合わせ自動で光度調整し、ソフトウエアキーボードが使いやすく文字入力が簡単になったうえ音声入力も可能ですし、スリープなので復旧が早く、メンテナンス性もよく、タブレットPCとして持ち運んで使えるという便利なマルチメディアデバイスが搭載されました。

おまけに車載PCモニターの際は裏側に隠れて使えなかった中央のエアコン吹き出し口もつかえるようになり、いたれりつくせりです。

しかし、ここまで本格的に車載してみると、カーナビの必要性について疑問を感じるようになりました。ディーラーかメーカーオプションで最初からタブレットPCを搭載できるようになると便利だと思いますが、メーカーさん、どうでしょうか。