10点同時タッチ認識でフルHD対応、薄型・軽量ディスプレイのSHARP LL-S201Aを今回はレビューしていきます。
このLL-S201A、価格だけにタッチセンサーの反応は素晴らしく、ペンを使えば小さな動きにも対応しますし、タッチパネルを前提として設計されたWindows 8との組合わせは、新しいPCの使い方を見せてくれるものでした。
商品が手元に届いてまず驚いたのが軽さです。軽いディスプレイが必要だったので軽いディスプレイを選択しておきながら、梱包状態で持ち上げたときにその軽さに驚きました。
箱から出してみると梱包材で2段に各パーツが分かれています。厚みに関してはそうでもないかと思いきや、箱半分で納まるディスプレイの薄さにここでも驚きです。
●内容物一覧
LL-S201A本体
ディスプレイスタンド(写真左のパーツ2つとACアダプターの左どなりのパーツ)
ACアダプター
スタイラスペン
ユーティリティCD
USBケーブル(タッチセンサー用)
スタンド固定ネジ
LL-S201Aはその軽さと薄さに思わず巨大なタブレットPCかと思うほどです。
厚みを測ってみるとなんと約25mmという厚みでした。LEDのバックライトで薄型化が進んでいるディスプレイですが、この薄さは圧倒的です。
重量は実測してみると2330gという結果になりました。20インチワイドというスタンダードなディスプレイより若干インチ数が小さいことを加味してもその軽さが際立ちます。
この軽さと薄さには秘密があり、今では当たり前となった直流変換回路のディスプレイ内蔵という手法を採用せず、あえて液晶ディスプレイが市場に投入された時のように電源をACアダプターとして直流変換回路を外に出しています。
このためACアダプターが場所を取るというデメリットが発生するのですが、その分、薄さと軽量化に成功しています。
コンセプトがデスクの上で資料を表示してクライアントなどとタッチしながら仕事を進めるというものなので、タブレットPCのように薄く軽いというのは絶対条件だったのでしょう。
LL-S201Aは背面にも普通のディスプレイに無い特徴があります。
ディスプレイの背面にはキーボードのようにチルトスタンドが付いています。
机の上にそのまま置くことを考慮して用意されているようですが、タブレットPC用スタンドのようにディスプレイが使用者に傾いて使いやすくなります。
もちろん付属のスタンドに立てて通常のディスプレイとしての運用も可能です。固定用のネジを使えばスタンドにLL-S201Aを固定することができます。
LL-S201Aの入出力端子はHDMI、ディスプレイポート、マイクロUSB、電源入力、ヘッドフォン端子となっています。マイクロUSBはタッチセンサー用となっています。
HDMI端子は最新の映像転送規格であるMHLに対応(充電にも対応)しており、対応したスマートフォンとMHLケーブルを用意することで、映像をLL-S201Aに表示することができます。
もちろん、HDMI出力ができる機種であればPCに限らず、スマートフォンでもタブレットPCでも接続して使う事ができます。
入出力端子近くにはケーブルを束ねるケーブルホルダーがあるので、邪魔なケーブルを束ねることができます。
机の上で移動する際に邪魔にならないようにとのことですが、ケーブル自体が邪魔なのはどうしようもありません。
ディスプレイは非通電時は灰色になっています。この頃のディスプレイは黒が締まっているものが多いと感じるのですが、この色はタッチセンサーが間に挟まれているからでしょうか。
タッチセンサーは静電容量式で最大10点同時認識となっています。
さすがに10点同時認識時はセンサーの追従性が低下する現象が出てきましたが、それでも10点同時認識ができるタッチディスプレイは少なく、タッチディスプレイの中ではハイスペックモデルとなります。
静電容量式のタッチパネルですがスタイラスペンも付属しており、精密な動作を求める作業にも向いています。
スタイラスペンを使う事でイラストレーターやフォトショップのパスの作成、画像の切り出しなどはマウスと比べるとダイレクトな操作感覚となります。
タッチパネルだけにディスプレイの設定もタッチ操作となっています。メニューは電源ボタンを短く押すと表示されます。
指モード、ペンモードの切替えや、内蔵スピーカーのボリューム調整などはここから設定することができます。
画面に常時表示されて特に目立つタッチモードの表示は、設定から5秒間のみ表示に切替えることですぐに消えてくれます。
消費電力はアイドル時で3W、通電時で26Wとなっています。20インチワイドのディスプレイと比較すると標準的な消費電力となっています。
●Windows 8との組合わせで真価を発揮
タッチパネルを搭載しているだけにWindows 8 PCと組合わせは最適です。
※タッチセンサー対応OSはWindows 8及びwindows 7
タッチセンサーのドライバーは不要ですし、なによりデスクトップでは使いにくいイメージしかなかったWindows 8も見違えるように操作性が上がります。
Windows 8ではタッチパネルのセンサーが反応した箇所を視覚的に分りやすく伝えてくれます。
マウスの操作では出しにくいチャームも指で操作すると簡単に出てきます。その他、画面の分割やアプリ画面の切替えなど、まるでWindows 8タブレットPCを操作している時と変わりません。
センサーの反応は鋭く、タッチした箇所を外すことがほとんどありませんが、元々マウスで操作することを前提としたデスクトップアプリ(旧来のWindowsアプリ)はボタン等が小さいため押し間違いが増えてしまいます。
この問題はGUIのサイズ変更をすることである程度回避することができます。画面はWindows7のものですが、Windo8にも同等の機能が搭載されていますので、サイズを大きくして誤タッチを減らすことが可能です。
あまり設定値を大きくしすぎるとアプリのレイアウトが崩れ、ボタンが画面外に出たりするといった支障をきたすため、環境にあった調整が必要です。
ディスプレイの映りは目を近づけるとセンサーの格子が目立つものの、一般的なディスプレイと比べて遜色はありません。
タッチセンサーを認識しているとソフトキーボードが出てくるので簡単な文字入力はソフトキーボードで十分対応できます。
しかもWindows 8タブレットPCで不満だったソフトキーボードの画面占有率が低いため、デスクトップでアプリを使う際にも実用的になっています。
LL-S201Aとの組合わせでタッチだけでなく、ピンチ操作やフリック操作ができるようになるので写真の拡大縮小などはスマートフォンと同じ感覚で操作できます。
ピアノアプリは画面のサイズが大きなため押し間違いも無くなります。
しかもタッチパネルは同時10点認識のため両手で全ての鍵盤を押すことができますので、DTMで本格的に使える可能性があります。
CG関係も可能性は十分にあります。フォトショップやイラストレーターといったDTP作業でのパスの作成や切り抜き作業はスタイラスペンを使えば直感的な操作となります。
またCGの作成でも、その直感的な操作により新しい表現や作業性の改善を図ることができるかもしれません。
私はベット用モニターアームと組合わせ、自堕落な寝ながらネットをするという目的のために使っていますが。業務用という割には通常の作業にも十分使えます。
文字入力をする機会は少ないのですが、ログイン時や検索時には必要なためソフトキボードが活躍します。おかげでハードキーボードを使う機会がめっきり減りました。
ただし、タッチする作業が長時間に及ぶ場合はディスプレイが宙にあるため腕が疲れてしまいますので、マウスが必要になってきます。それでも従来の運用よりはるかに楽になり、自堕落度がアップしているのは間違いないですね。
●まとめ
10点同時認識のタッチセンサー、ペンモードによる精密な操作への対応、軽量薄型で机の上にタブレットPCのように置いて使うスタイルなど、従来のディスプレイに無い活用方法が非常に新鮮に感じます。
特にWindows 8 PCとの組合わせでは、まるで巨大なタブレットPCを使っているような感覚でした。
価格については20インチワイドとしては5万円台とかなり高価な部類に入りますが、新しい活用の可能性を考えると十分に性能に見合う価格だと思います。
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