ASUS VivoTab Smart ME400C ME400C-64


タブレット向けに意識されたWindows 8を使うのなら、やっぱりタブレットPCで使うのが一番だろうと考え、前回コストパフォーマンスが良いWindows 8 タブレットPCを3つ候補に挙げてみたのですが、最終的にASUS VivoTab Smart ME400C ME400C-64に決定し入手をしてきました。

●ASUS VivoTab Smart ME400C ME400C-64 実機レビュー:外観


パッケージ


パッケージは至ってシンプルで、一目でWindows 8タブレットと判断できるデザインとなっています。


蓋を開けた状態


蓋を開けると本体が箱にピッタリに納まっています。


本体を取り出したところ


本体を取り出したところです。充電器と箱が見えます。


内箱を取り出したところ


内箱を取り出したところです。内箱の下からUSBケーブルが出てきました。


内箱の中身


内箱の中身は取り扱い説明書とクリーニングクロスが入っていました。

説明書はこの頃のトレンドの紙の簡易説明書と本体内にデータやアプリとして内蔵というタイプです。


内容物一覧


内容物一覧です。

ASUS VivoTab Smart ME400C ME400C-64本体
USB充電器
充電用USB-マイクロUSBケーブル
簡易説明書・保証書・PCリサイクル証
クリーニングクロス


充電器はUSB電源アダプタータイプ


付属の充電器はUSB電源アダプタータイプです。


ソケットは1口


接続口は1口のみです。


出力は5V2A


出力は5V2Aです。

タブレットPCと捉えると標準的な出力容量ですが、Windowsが動くマシンと捉えると、この電圧と出力でよく充電ができるなと感心します(ノートは12V3Aなど電圧と出力容量が倍以上高い)。

逆にいえば、ARM CPUを採用しているiPadやAndroidタブレットと比較すると、消費電力が大きめになりがちなx86 CPUでも省エネ化が進んだという証でもあります。

さすがに充電時はフル活動するためか、充電器はかなり暖かかくなり少し熱いぐらいといってもいいほど発熱します。


消費電力は最大で12W


気になったのでワットチェッカーで調べてみると消費電力は12Wを計測しました。USBコネクタ出力側が5V2A=10Wのため変換損失を加味すると、おそらく出力側は100%出力しているものと思われます。

他のタブレットでも計測してみたのですが、Nexus7で10W、KindelFireHDでは7Wという結果になったので、発熱の原因は充電器を酷使していることに間違いないでしょう。

これは同社が製造しているAndroidタブレット、Nexus7の5V2A充電器を使用しても変わりませんでした。

USB-マイクロUSBケーブル


充電に使用するのはUSB-マイクロUSBケーブルです。

ASUS VivoTab Smart ME400C ME400C-64では、AndroidタブレットやiPadのようにUSBケーブルでPCと接続しても内蔵ストレージをマウント(開く)することはできず、充電のみとなっています。

しかし付属のUSB-マイクロUSBケーブルケーブルは通信も可能なことを確認しています。


マイクロUSBコネクタ


USBケーブルなので、PCやモバイルバッテリーなどUSBコネクタが搭載されている様々な機器から充電が可能ですが、急速充電をするのであれば付属の充電器と同じく5V2Aの出力が必要となります。

PCへと接続して充電場合、USB2.0で5V500mAと付属の充電器の1/4の出力しかないため、出先での充電は純正もしくは同等の充電器、または電源が無くとも使える大容量大出力のモバイルバッテリーが必須となります。


ここら辺はノートPCと変わらない


とりあえず、箱から出した点でWindows PCだなと感じたのがラベルが貼ってある点です。店頭でよく見かける光景ですね。


正面


モニターは静電容量式のタッチパネルで、最大5点まで同時に認識します。タッチ精度は非常に高く、補正でも効いているのか、小さな画面では操作のしにくそうなデスクトップ画面でも思ったところをタッチすることができます。

ドット密度が155ppiということもあり画面に顔を近づけるとドットの枠が見えるほどですが、通常使用する距離においては特にドットが気になるということはありません。

発色はIPSということもあり、黒が引き締まった綺麗な発色で写真や動画の閲覧には十分といったところです。


なんとホームボタンが搭載されている


モニターの下を見るとWindowsのマークが表示されていますが、実はこのマークは飾りではなくスタートボタンで、タッチすることでスタート画面に一瞬にして切り替るというタブレットらしい機能が搭載されています。


前面カメラと光センサー



前面にはモニター光度の自動調整用に光センサーが搭載され、その横に前面カメラが搭載されています。

光センサーについてはハードウェア側なのかソフトウェア側の問題なのか分かりませんが、光度調整が入るときはリニアに切り替るのではなく、段階的に画面の光度が変わるので切替え時は目立ちますし、自動制御の作り込みも甘く、思うように光度が切り替らない時があります。

前面カメラの画質については若干ピントが甘めで僅かにぼけた感じに映るのと、焦点距離が大きすぎて、手でもちながら顔を画面いっぱいに映すとなると目一杯腕を伸ばさないといけませんでした。

サイズと重量の点から、手で持ちながらビデオチャットをするのは向きませんので、スタンドなどで立てかけて使用することを前提としている設計のようです。


上部


上面には内蔵マイク、電源/スリープスイッチが用意されています。


電源スリープボタン


電源/スリープボタンは長細く押しやすいボタンです。


充電中は電源ボタンが光る


この電源/スリープは充電時のステータス表示をするインジケーターが埋め込まれており、充電中はオレンジに光ります。


下部


下部には何もありません。


左側面


左側面です。ここにはコネクタ類が集中しています。


マイクロHDMIコネクタ


映像の外部出力用にマイクロHDMIコネクタが用意されています。

他のタブレットと違い画面のクローンだけでなく、外部のモニターを2ndモニターとして使用し、デュアルモニター環境にすることもできます。


マイクロSDカードスロット


そして内蔵ストレージの容量に不満があれば、容量を使いすることができるマイクロSDカードスロットを搭載しています。

このスロットはmicroSDHCとmicroSD規格に対応していますので、最高で32GBのストレージを追加できることになります。


充電とUSBホスト機能を備えたマイクロUSBコネクタ


マイクロUSBコネクタは充電用とUSBホスト機能を持っています。通信用のUSB-マイクロUSBコネクタでPCと接続してもAndroidタブレットやiPadのようにPCにハードが認識されるわけではありません。

USBのクライアント側にUSBホスト機能が加わったUSB OTGとは違い、通常のPCについているUSBコネクタが小さくなって電源入力ができるようになったコネクタとなっています。

もちろんWindowsですから、マイクロUSB OTGケーブルを用意さえすればUSBフラッシュメモリや外付けドライブなど、様々なUSB機器を認識することができます。


右側面


右側面には内蔵マイク、マイクロフォン/ヘッドホン端子、ボリュームボタンが備え付けられています。


マイクロフォンとボリューム


ボリュームボタンは一つですが上でボリュームアップ、下でボリュームダウンをする構造です。特に押しづらいということはありません。

マイクロフォンコネクタは、スマートフォン、タブレットで定番のヘッドフォン出力とマイク入力兼用のマイクロフォンコネクタです。


内蔵マイクは2箇所


内蔵のマイクについてはボリュームボタン下と、筐体上部の2箇所となっています。

試しにボイスレコーダーアプリで録音してみましたが、BGMを流した環境で喋っても、しっかりと人間の声を優先して記録するので会議時の録音にも使える実用的なレベルのものを備えています。


背面


背面にはスピーカー、LEDフラッシュ搭載のカメラ、そしてNFCが搭載されています。


スピーカーはモノラル


スピーカーはステレオモノラル(訂正)ですが、近い位置に配置しているためモノラルとさほど変わりません。音質については並といったところで、他のタブレット比べても特に目立った箇所はありません。


背面カメラとLEDフラッシュ


背面カメラはLEDフラッシュ搭載です。前面のカメラについては少しピントが甘めでしたが、背面のカメラもやはりピントの甘さが目立ちます。

iPad miniのようにデジタルカメラの代わりに使える性能ではありませんが、画素数は800万画素ありますので、メモ用の記録写真に使うには十分な性能といったところです。


NFC通信機能搭載


そしてASUS VivoTab Smart ME400Cには驚くことにNFCが搭載されています。

NFCとは近距離無線通信で、現在日本でよく使われるEdy、Suicaなどの交通機関ICカード、nanaco、WAONなどで採用されているFelicaもこの規格に入っています。

実際にNFCの機能を搭載したNexus7ではカードの情報を読み取る実験をしてみましたが、ASUS VivoTab Smart ME400Cでもアプリが充実すればFelicaで通信するカードの読み書きができるようになるのかもしれません。


厚みはKndelFireHDとほぼ同じ


厚みについてはKindleFireHDと同等の厚みですので、iPad mini以上Nexus7以下となります。

ただ、手に持った感じでは面積が大きな分薄く感じます。最初に手に持った際に、こんなに薄いのにWindowsが動くのかと思ってしまうほどです。


Windowsエクスペリエンス


ハードウェアの性能についてはバッテリーのスタミナを優先しているため、二の次となっています。

Windowsエクスペリエンスが示すようにグラフィックが特に弱いのすが、次いでCPUも弱いという状態です。性能的にはネットブックやUMPCレベルと同等となっています。

実際に使用していてCPUが足を引っ張っているなと感じる時があり、例えばブラウザで複数のタブを同時に開くと10秒近くCPUの使用率が100%になりブラウザが固まります。

また、フラッシュの機能を使い動画を再生するニコニコ動画などのサービスでも、高負荷によりブラウザやプレイヤーの操作がしにくくなります。

しかし、OSの操作については引っ掛かるような動作はなく、タッチパネルの精度も高いので操作時のストレスはそれほど感じません。

また、Nexus7でもローカルストレージで何とか再生できたTSファイルの再生ですが、フルスクリーン限定とはいえASUS VivoTab Smart ME400CではNASに保存したTSファイルをネットワーク越しに再生することができます。

このことからDTCP-IP対応のDLNAにより、ネットワーク越しにHDD録画チューナーの動画を再生できる可能性も秘めているようです。

タブレットPCでは限定的に対応しているDTCP-IP対応のDLNAですが、WindowsPCであればアプリを入れれば対応できるので今後試してみたいと思います。


ASUS VivoTab Smart ME400C ストレージベンチマーク


ストレージは基板上に組み込むeMMCタイプを採用していますが、同じフラッシュメモリを採用しているSSDと同等とはいかないようです。

しかし、4KBクラスについてはHDDよりも性能がよいのでプチフリのような症状はでません。アプリケーションのインストールについても、細々としたファイルが多数コピーされるようなものでも特に引っ掛かる挙動は見せませんでした。

ただ、全体的にアプリの起動がもたつく点が気になりました。これはCPUとアプリの最適化に起因するものだと思われます。


パーティション


ストレージの容量については表記に少々問題点もあり、AndroidタブレットやiPadについてはOSの格納箇所とファイルの保存用のストレージが分かれているため、搭載しているストレージ容量を全てファイル保存用に使用することができます。

しかし、ASUS VivoTab Smart ME400CはWindowsPCのためストレージの一部をOSが占有しています。

搭載しているストレージ容量は64GBですが、OSの回復用に一部をパーティションで区切られ、さらに残りの容量もOSが使用しているため初期状態ではユーザーが使える容量は30GB程度となります。


バッテリー


バッテリーのスタミナについては、ASUSの仕様では9.5時間とタブレットPCとしてみれば標準的な時間ですが、WindowsPCとしては驚異的なスタミナです。

そこで実際に720pの動画をローカルストレージとYoutubeから再生し続けてスタミナテストを試みたのですが、実測では6時間20分という結果に終わりました。

タブレットPCとして比較するとNexus7やKindelFireHDと同等のバッテリースタミナとなります。


実重量573g


重量は実測で573gとなりました。この重さだと持ち運びながらは使えませんので、座った状態で膝の上や、机の上にスタンドにたてて使用したり、床やベットに置いて寝ながら使うなどいう用途向けです。

もちろん、省電力だけあって発熱はほとんどしませんので、膝の上に置いても生暖かい感覚はありません。


●ハードウェア編まとめ

WindowsPCとしてみると、ハードウェアの性能についてはUMPCやネットブッククラスと全体的に低めとなっていますが、性能を犠牲にしてスタミナを手に入れたため、タブレットPCとしては平均的なバッテリーのスタミナを手に入れることができています。

タッチパネルの性能は非常に高く、操作追従性は問題がありませんが、OSとの組合わせについては次回のソフトウェア編で紹介しますが、少し問題を抱えている点もあります。

単純にタブレットPCとしてみた場合、ハードウェアの完成度は総合して平均的なクラスだといえるでしょう。

現状では、インターネットとメールの閲覧をしたいという程度であれば、使いやすさでiPad、価格でAndroidタブレット、Windowsでないと困るという場合にASUS VivoTab Smart ME400が選択肢にあがるといったところでしょう。

困ったことにまだ新しい商品のため専用のカバータイプケースが発売されておらず、手帳のように持ち運ぶことができません。周辺機器メーカーには是非発売してもらいたいところです。