デジタルビデオカメラの手ぶれ補正といえばSONYというほど強力な手ぶれ補正が有名な同メーカーですが、実際の所はどうなのか?SONY HDR-CX590Vを購入してきました。
SONYのハンディカムではスタンダートモデルに位置するHDR-CX590Vですが、このごろCMでよく見るPJ760やCX720Vのようにレンズユニットが丸ごとぐいぐいと動く強力な手ぶれ補正「空間手ぶれ補正」はついておらず、通常のカメラと同じく光学手ぶれ補正となっています。
しかしSONYは業務用のビデオカメラも手がけているだけあって、スタンダードモデルといえどもその能力は期待できるものがあります。
それではSONY HDR-CX590Vのレビューと行きましょう。
内容物一覧
HDR-CX590V本体
NP-FV50バッテリー
充電器
USB2.0ケーブル
コンポジット アナログAVケーブル
HDMIケーブル
マニュアル
HDR-CX590Vの記録容量は64GBとスタンダートモデルでは標準的な容量です。最高画質で約5時間、さらに32GBのSDHCカードで2時間30分を別に追加することができます。ただしこの容量を使い切るにはバッテリーをどうにかしないと使い切れないでしょう。
付属のバッテリーは6.8V 980mAhのNP-FV50が付属していますが、このバッテリーは連続撮影(ズーム操作や電源のON/OFFを繰り返さずずっと撮影する場合)は2時間。実撮影時間(ズーム操作や電源のON/OFF、タッチパネルの操作を動作の途中に何度か繰り返す場合)は1時間と短い時間しか使えないと表記されています。
SONYはインフォリチウムバッテリーという技術を自社のリチウムイオンバッテリーに搭載していますが、この技術のおかげでバッテリーの残量を分単位で知ることができます。実際に満充電をしてバッテリーの残量を見ると2時間3分という表示になっていました。
この状態から実際に連続で録画してみましたが、実際に録画できた時間は2時間4分35秒と確かにバッテリーインフォ及び仕様と同じ時間でした。数回の電源オンオフとズーム操作もそれなりに盛り込んでみましたが、バッテリー残量が残り1メモリになってもしぶといスタミナで、なかなかバッテリー切れになりませんでした。
ただし口コミなどを見ると、実用的な使い方だとやはり1時間程度しか持たないと言われています。この時間だと運動会などのイベントで使うには物足りない時間ですので、オプションのNP-FV70やNP-FV100大容量バッテリーや互換バッテリーを検討する必要があります。
ちなみに充電は付属の充電器を使った場合だと約1時間で終わりました。
ズームの操作はしっかりと手に馴染む位置にあるので手ぶれの原因になりにくくなっています、強力な手ぶれ補正もあってズーム時のスーッと被写体がアップになっていくのには驚きました。
また写真用のシャッターボタンもここに用意されていますが、ズームの操作ボタンと同じく強い力がかかると手ぶれの原因になるため、バネは非常に弱目に設定してありそっと指を触れただけでも半押し状態になります。
小さくとも拡張性はそれなりに持ち合わせており、オプション用のアダプターにマイクや光源など、さまざまなオプションを備え付けることができます。
また、モニターを開くと見える拡張パネルにはマイクロフォン端子、マイク端子、miniHDMI端子、miniUSBホスト端子が備え付けてあります。
HDR-CX590Vは元々マイクの性能は良く、5.1チャンネルで録音できるので広がりのある音もしっかりと録音するためマイクの性能には不満を感じませんが、音にこだわりを持つ人でも、指向性の強いマイクや、広がりを録音できるマイクを使いシーンにあった環境音を撮影することができます。
もちろんマイクロフォン端子にイヤホンなどでより鮮明に音を感じながら撮影することができます。私の場合車載動画を撮影することもあり、やはりエンジンの音やエギゾーストノイズにはこだわりを持っていますので、官能的な音をそのまま取り込むことができるようになる拡張性というのは大切な要素です。
充電用のコネクタは左サイドにあります、コネクタは垂直に差込むため、HDR-CX590Vににょっきりとケーブルが生える状態となります。もっとスマートな箇所に設置できなかったのでしょうか。
今では使うことが少ないアナログのコンポジットケーブル用端子もここに差込みます。
USBケーブルによる充電も可能ですが、パソコンからの充電は能力不足で、充電を知らせるランプが光ったり光らなかったりとまともに充電できませんでした。
そこでUSB電源アダプターを使い充電を試みましたが、500mA程度の容量では充電ランプは付かず、iPad用の2A USB充電器に差込んだところ充電ランプがつきました。
充電時間は付属のACアダプターより時間がかかりますが、USBで充電ができるということはUSB電源アダプターやシガーソケットタイプのUSB電源アダプターで充電ができるので利便性がぐっと広がります。
動画の取り込みは内蔵のUSB2.0ケーブルからパソコンに接続して取り出せるほか、USBホスト機能を持っているのでオプションのアダプターでHDDに直接動画ファイルを転送することができます。もちろんソフト等は必要なくパソコンに接続するだけで認識します。
HD動画はファイルのサイズも大きく、USB2.0では転送に時間がかかります。実際に2時間分の録画ファイル(23.2GB)を転送するのに1時間以上もかかりました。USB3.0が主流になりつつある今、ここはUSB3.0に対応してもらいたかった所です。
この内蔵ケーブルは意外と便利で、小さくて挿しにくいminiUSBのケーブルを転送のたびに挿す必要がないので前より面倒は感じません。
重量はバッテリー込みで369gと軽めです。サイズも小さいため手の中にすっぽりと収まり長時間の撮影でも疲れにくく仕上がっています。女性でもこのサイズと重量なら使い勝手に不満を覚えることも少ないでしょう。
パソコンとの連携もばっりでWindows7で認識すると専用のメニューを表示することができます。付属の動画と静止画の管理及び編集ソフトでもあるPlayMemories Homeもこの画面からインストールすることができます。
PlayMemories Homeは初期状態では編集機能は持っていませんが、アップデートすることで編集能力やディスクの作成などの機能が加わります。
しかし編集機能は簡易的なもので、動画の切り貼り程度の能力しか持っていません。レビュー動画を作製する上では能力不足なので編集ソフトはAVCHDの60pに対応したVideoStudio Ultimate X5を使っています。
望遠は光学で12倍(デジタルと合わせ160倍)で遠くからも大きく撮影できます。もちろん光学手ぶれ補正により手ぶれの少ない動画が撮影できるので動きの激しいシーンでも役に立ちます。
しかも望遠だけでなく広角側も広く35mm換算で26.8mmとかなり広い空間を撮影することができます。ハンディカムの広角はそれほど強くなく、実際にテレビ番組で出演者が自分を映すために手に持って使う際にはワイドコンバータという広角にするオプションをレンズの先に付けていますが。これはその必要を感じさせないほど広角が広く使いやすいです。
上の写真は50cm離れたところからGZ-MG275とHDR-CX590Vで撮影したものです。見てのようにHDR-CX590Vのほうが広い空間を撮影することができます。
試しに自分の顔が見切れない程度に離れて撮影してみましたが、レンズとの間は30cm程度でした。前に使っていたGZ-MG275は広角45.7mmのなので、同じように写すには倍近く離れないといけません。HDR-CX590VはまるでWEBカメラのような広角といってもいいでしょう。
※私の頭の高さは30cmぐらいです。
屋内のように撮影距離に制約が出やすい所では特にこの広角が活きてきます。私のような部屋の中で物を撮影するという使い方には正にうってつけです。
使い勝手は非常に良く、パネルを開くと自動的に電源が入りレンズカバーが開放されます。起動も約3秒と高速で待たされません。長時間のスタンバイでオートオフが働いてもすぐに復旧して撮影できるのでストレスがたまりません。
ただ、タッチパネルで操作するため指紋や脂が目立つというタッチパネル共通の問題点はHDR-CX590Vでもあり、操作のほとんどをタッチパネルで行うためよく汚れます。
しかし、タッチパネルの操作は非常に軽快で、タッチの精度も悪くありません。メニューやオプション関連の操作も作りがよく、説明書も必要ないほど簡単に設定できます。
HDR-CX590Vは1920×1080のフルHDという解像度で毎秒60コマのプログレッシブ撮影が可能となっています。これは1秒間に60コマという多いコマ数で撮影できるので動きの激しいシーンでもヌルヌルと動く様子が撮影できます。
また従来のインターレース形式のように停止時に画面がギザギザがずれて表示されるインターレースノイズもなく綺麗に撮影することができます。
ただし毎秒60コマのプログレッシブ録画時は性能をフルに発揮しているので、撮影中の静止画撮影機能は使えなくなります。また、AVCHD規格の60pは最新の機能で、編集ソフトを使う場合はソフト側が対応していないとエラーでアプリケーションが落ちるなど不具合が出ます、60pの動画を編集する場合は最新の60p対応版の編集ソフトが必要となります。
※付属のアプリケーションは60pに対応しています。
指定した被写体を追従してピントを合わせ続ける追尾フォーカスの機能には驚きました。
モニターで追尾したい被写体をタッチするとそれを追従してピントを合わせ続けます。動きの激しいシーンでピントが切り替りやすいシーンでもしっかりと追従して指定した被写体にピントを合わせ続けます。
運動会の徒競走を撮影する際、隣り合った人物にピントが移ったりすることがありますが、この機能を使えば狙った人物からピントが外れるということがありません。手ぶれ補正だけでなく、追尾フォーカス機能があるので運動会に強いと謳えるというわけです。
静止画の撮影もしてみましたが収差が酷くお世辞にも綺麗とはいません、これはレンズが小さいので仕方ないでしょう。動画でも白色の物を写すと収差が発生していました。
画写性能と色乗りはまぁまぁといったところでコンパクトデジタルカメラの変わりには使えるかなといったところです。
画写性能と色乗りはまぁまぁといったところでコンパクトデジタルカメラの変わりには使えるかなといったところです。
それでは実際にSONYが得意とする手ぶれ補正の能力を実際に撮影した動画で見てみましょう。被写体は20m先の離れた先の木柱です。
手ぶれ補正が掛かるとぶれがほとんど無くなり、再生していて画面酔いすることもありません。最大まで望遠した際には若干手ぶれが出ますがスタンダードモデルでこの性能ですから馬鹿にはできません。
また歩きながらの撮影では、最大望遠時は流石に手ぶれ補正能も形無しですが、6倍ズームまでは実用できるほどの手ぶれ補正能力です。噂通りSONYの手ぶれ補正の強力さを感じさせる一面でした。
上位機種のPJ760やCX720Vはこれよりもさらに強力な空間光学手ぶれ補正を搭載しているというので一度体験してみたいものです。
最後におまけでGPS機能についてですが、位置情報以外にもGPSにより時計の自動補正をすることもできます。屋内ではシグナルを受信することはできませんが、屋外ならGPS機能を活用して撮影したポイントを内蔵の地図に表示したりと活用方法が増えてきます。
まとめ
今回はブログ用の動画を撮影するためのデジタルビデオカメラ更新ですが、撮影時は三脚を使い手ぶれとは無縁の状態ですので、そこそこの手ぶれ補正で良かったのですが、意外にも光学手ぶれ補正が強く、業務用の中堅モデルも手がけているSONYだけあるなと感じます。
バッテリーのスタミナは唯一不満が残るところですが、他については満足いく結果で、今では愛着が沸いてお気に入りの機材になっています。今後の動画レビューはHDR-CX590Vにより綺麗なHD動画になりますので、細部まで綺麗に映ること間違い無しです。
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