宇宙は広い、だが人が住める場所は意外と狭い

PCVRに大作ゲームは無いといったな。あれは嘘だ。(うわぁぁぁぁ!)

ということで、実はあったよ大作PCVRゲームという話なのですが、今回紹介するElite: Dangerous はVR専用タイトルでは無く平面ディスプレイ・VR両対応のタイトルです。

両対応とはいえVRモードも細部まで作り込まれており、まるでスターウォーズやスタートレックを彷彿とさせる演出と細部まで徹底した設定、そして素晴らしいグラフィックが売りになっています。

ただし、ゲームシステム的に万人向けのカジュアルゲームでは無く、はまる人にははまるけど合わない人にはまったく合わないという人を選ぶタイトルになっています。

そんなVR対応PCゲームであるエリデンことElite:Dangerousを今回はレビューしていきます。
・衝撃的な体験

VIVEを購入して1ヶ月程度コンテンツを楽しみましたが、やはりミニゲーム的コンテンツが多く、楽しいけどガッツリ遊べるゲームコンテンツには出会えていませんでした。

しかし、Elite: Dangerousはチュートリアルの段階で、初めてVIVEを体験したときのような衝撃を受けたほどの作り込みがされており、ボリュームについては既に450時間以上プレイしているタイトルとなっています。

特筆すべきはパイロット視点VRとの相性で、パイロット視点のゲームをするにはVRはまさに最適なデバイスといっても良く、まさに「俺は宇宙船のパイロットだ!」と言いたくなるほどのマッチング具合です。

新兵卒業

チュートリアルの段階で、宇宙に漂う巨大なコロニーへのドッキング作業や敵機との交戦がありますが、その段階ですでに鳥肌が立つぐらいの臨場感があり、即ゲームの世界観に引き込まれてしまいました。

Steamの評価では平面ディスプレイでのプレイする人が圧倒的に多いため賛否両論となっていますが、VRモードでプレイしているユーザーにはとても好評という評価となっており、確かに、平面ディスプレイでプレイした時のElite: Dangerousは一般的なゲーム程度の体験でしかなく、率先してプレイしたいと思うほどの魅力は感じられません。

Elite: DangerousはVRモードでこそ真価を発揮するゲームで、特に乱戦でのドッグファイトは手に汗握るプレイが楽しめます。
※交易や配送ミッションといった作業的なミッションは平面ディスプレイでながらプレイがお勧め。
 
・ゲームシステムはシミュレーター寄り

このゲームの最も魅力的でもあり、同時に人を避ける要素となっているのがシミュレーターという要素です。

正式にはスペーストレーディング&コンバットシミュレーターとなっていますが、その名の通り、宇宙における経済と戦闘をシミュレーションするということです。

シミュレーションって何?という人向けに説明すると、リアル志向だということです。

シミュレーションゲームにおける人の扱いは、銃弾に1発でも被弾すれば無力化します。ジェット戦闘機であれば同様にミサイルに1発でも被弾すれば撃墜されるほど現実に則したものが多く、操作を覚えないうちは敵に思うがまま蹂躙され、酷い場合は敵と出会うどころかまともに操作することすらできないことがあるなど、シュミュレーション系ゲームは人を選ぶジャンルです。

袋だたき

とはいえ、Elite: DangerousはSF物のため、ガチガチのシミュレーションではなく、カジュアル寄りのシミュレーションになっています。

機体には装甲やシールドがあるので一発被弾で即終了ということはありません。しかし、カジュアルゲームではないため、初期の機体でもいきなり最高クラスの機体と鉢合わせることも結構な頻度であり、相手を考えて戦うか逃げるか選択しないと即撃墜されます(戦闘開始数分で撃沈を経験)。

乱戦

乱戦時は常にレーダーに気を配り味方の配置を気にしながら、状況に応じたエネルギー配分を設定しつつ、敵機の機体によっては弱点を攻めて敵を撃墜するような芸当を求められ、敵に追尾されようものならチャフやマインをバラマキながら振り切るなど、あれこれできることが多いため最初は操作すらままなりません。

そんなの面白いの?と思うかもしれませんが、操作を覚え、ある程度良い機体を用意できると抜群に面白くなってきます。

ただ、それまでに掛かる時間はおそらく10時間では足りないかもしれません。しかも、この時間はチュートリアル抜きでの時間です。

BASIC FLIGHT TRAINING

Elite: Dangerousでは本編を楽しむ前に基本的な操作を覚えるチュートリアルがありますが、まずこれに数時間を費やして基本的な操作を覚えないと、本編はまともにプレイできないほど覚えることが多いのです。

また、説明は全て英語なので、単語をある程度理解する程度の能力は必須です。とはいえ攻略Wiki等で調べれば答えはだいたい見つかりますし、昔のPCゲームのように英語版しか無かったころのゲームをプレイしている人ならまず大丈夫でしょう。

このゲームにおいて最も大切なことは、分からないことを調べる意欲なのですが、さすがにPCVRでXBOX360コントローラーを組み合わせた際の説明や解説などは無く、手探りで解決することも多かったこともあり、チュートリアルだけで5時間も使ってしまいました。
※現在のバージョンではチュートリアルが改善されて操作が分かりやすくなっている。

長時間のプレイにも耐える

これについては、PCVRでXBOX360コントローラーを組み合わせた際のコントローラー操作一覧とチュートリアル解説を別途記事にしておきましたので、参考にしてもらえればと思います。

経済シミュレーション要素

戦闘以外にも、Elite: Dangerousにはスペーストレーディング要素、すなわち経済シミュレーション要素盛り込まれており、ゲームサーバー内ではプレイヤーやNPCが行う貿易による物流をシミュレーションしています。

安く買い高く売るという交易をプレイヤーが行うことで、装備や機体を購入するための資金を得ることができますが、物流は常に変動しており、昨日は安かったのに今日は価格が高騰しているということもあります。

また、安定した交易が行えると思っていても、他のプレイヤーが同じ流通経路を見つけてしまい在庫が枯渇してしまうなど、簡単には儲からないようにできています。

このため、貿易はパターン化ができず、下調べをしっかりしないと大きな利益を得ることはできません。

ともかく、できることは多いがそのためにこなさなければいけないことも多く、この段階で「面倒くさそう」と思う人はこのゲームとは肌が合わないと思って間違いないでしょう。逆に、「オラ、ワクワクしてきたぞ。」と思う人は肌に合っている人です。
 
・自由なプレイスタイルでどうぞ

Elite: Dangerousは一見、宇宙船で戦うゲームと思うかもしれませんが、実は戦うことは必須条件ではありません。

まさに星の数ほどある星系

ゲーム内では依頼を受けてデータや商品の運搬をする運搬業、小惑星から資源を採掘する採掘業、未知の星系や惑星を探索する探索家、お客を乗せて観光をする旅客業など、戦闘をせずに資金を手に入れるプレイスタイルも用意されており、プレイヤーは自由にプレイスタイルを選ぶことができます。

もちろん手荒な方法で稼ぐことも可能で、戦場を渡り歩く傭兵、ターゲットを始末する暗殺者、賞金首を狩る賞金稼ぎ、採掘した資源や運搬中の荷物を略奪する海賊行為から禁制品の密輸までプレイスタイルは様々です。

機体の選定は重要

これらのプレイスタイルに合わせて機体を用意する必要がありますが、輸送用の機体は戦闘には向かず、汎用機は専用機に劣るバランス設定のため機体の選定は重要です。

インペリアルカッター

各プレイスタイルに最適化された機体や装備は自由に選べますが、最高機種に最高の装備を施した場合数億というコストが必要なこともあり、最初の内は良い機体を買ってガッツリ稼ぐことが1つの目標になるでしょう。
 
・細部まで作り込まれた設定が臨場感を高める

ワープ航法のシーン

このゲームの醍醐味はなんといってもコテコテのSF設定でしょう。ワープ航法のシーンではまさに定番ともいえるお約束の表現でワープしますし、ナビゲーション音声やBGMはSFの世界観にぴったりとはまっています。

プレイ面では、ステーションにドッキングする際はドッキングリクエストをしてからドッキングしないと攻撃されますし、ステーション付近でスピード違反をして他の機体と接触すれば罰金を科せられます。

劇中ではプレイヤーを含む個人には機体の所有が認められておらず、リース契約によって機体を借りる設定になっているようで、借りられる機体にもサイズ制限がある設定になっています。

そのため、撃墜されても保険金を払えば同状態の機体を再度リースできるが、保険金が払えなければ破算という点も妙に生々しさがあります。

直接的には関係ないものの、世界観の設定までも細部まで作り込んであり、「コクピットは独占企業により製造されているのでUIは全て同じ」。「宇宙は真空だから音は伝達しないけど、センサーが取得した情報から音を合成して聴覚的に状況を分かりやすくする装置が装備されている」(戦闘等でその装置が壊れると音が聞こえなくなる)といったところまで作り込んであるようで、これら細部にわたるまでこだわった設定がElite: Dangerousの臨場感を生み出している土台になっているのは間違いないでしょう。

全体的に「コテコテだがそこがいい!」という感じに仕上がっており、VRの体験と合わせると鳥肌が立つほどの体験を味わえます。

・VRでプレイするならゲームコントローラー必須

上記でも説明したとおり、Elite: Dangerousはできることが多いのですが、そのためにはやることも多くなるわけで、操作についても例外ではありません。

周りが見えないVRモードでのプレイでは、キーボード+マウス操作は不可能といっても良く、コントローラーを用意しないとまともにプレイすることはできません。

XOB360コントローラー

資金的に余裕がある人はフライトコントローラーを用意している人もいるようですが、フライトシミュレーターを専らプレイしているわけではないですし、VIVEでOculus Rift対応にも対応したゲームをプレイすることも考えて無線タイプのXBOX360コントローラーを導入しています。

XBOX360コントローラーがあれば基本的な操作は可能なので、プレイ中にキーボードやマウスを使う必要はないのですが、使うボタンが物足りないと感じることがあるので、3ペダルのフットコントローラーを購入しようかと考え始めています。

なんだか沼にはまりつつあるような状態ですが、そこまで用意したくなるほど魅力的なタイトルとなっています。

・まとめ

SFの代表作ともいえるスターウォーズやスタートレックが好きならこの世界観にどっぷりとはまれる要素を持っていると言えます。まさにスペースファンタジー・スペースオーケストラの王道を地でいっています。

面白いと感じるまでにある程度時間が必要になってくるので、細かいことを少しずつ覚えるのが苦手な人には残念ですがお勧めできません。

しかし、自由なスタイルでプレイできるようになると楽しくてたまらず、人を選ぶタイトルですが面白いと感じる人にはどっぷりとはまれるタイトルになっています。