HTC_VIVE


PC向けの高級VRゴーグルはハイスペックなPCが必要で、新規に組んだ場合10万は軽く超えるコストが必要になります。

これを機に、新しくPCを組み直すのも良いですが、10万円もするゴーグルを買う前に、さらにPCに10万円ポンと払うとなると敷居は高くなるばかり。パーツ交換で対応が可能になるのであればそれに越したことはありません。

しかし、いったいどのパーツを交換すればよいのか、ボトルネックとなっているパーツが分かないことには改善のしようがありません。

そこで、高級VRゴーグルが快適に使えるかどうかを簡単に確認してくれる3つの方法を紹介していきます。
・高級VRゴーグルに必要なマシンスペックは?
 

要求性能

Oculus Rift

HTC Vive

 GPU

NVIDIA GeForce GTX 970

AMD Radeon R9 290以上

NVIDIA GeForce GTX 970

AMD Radeon R9 290以上

 CPU

Intel Core i5-4590以上

Intel Core i5-4590

AMD FX 8350以上

 RAM

8 GB以上

4GB以上

 映像出力

HDMI 1.3以上

HDMI 1.4又は

DisplayPort 1.2以上

 USBポート

USB 3.0以上3ポートと
USB 2.0以上1ポート

USB 2.0以上 1ポート

 OS

Windows 7 SP1 64bit以上

※メモリの関係で32bit不可

Windows 7 SP1

Windows 8.1

Windows 10


これが、現在主流の高級VRゴーグルOculus Rift・HTC Viveの要求スペックです。

このリストを見ただけでも、ミドルアッパークラスからハイエンドクラスのPCが必要ということが分かります。

これを機会として、VRゴーグルに対応したPCを新調、又は、自作PCを丸ごと更新するのも悪くありませんが、もし、今までのパーツで流用が可能なのであれば、必要な部分を交換してコストを抑えるということも可能です。

そこで、3つの方法でPCがVRゴーグルを快適に使える環境にあるのか、もしくは、パーツ交換で対応することができるのか調べてみましょう。
 
・確認する前に…
 
現状ではハイスペックな性能を要求するVRゴーグルですが、使用するパーツの関係から、家電量販店に売っている一般的なPCや、ビジネス向けのPCの場合は新しく新調することを強くお勧めします。

これらのPCは性能が低いだけでなく、必要なパーツを増設するためのスペースや性能を持ち合わせていないため、ほぼ全てのパーツを交換することになります。

VR非対応のノートPC、Macは残念ながら非対応(VRゴーグルレベルで)ですので、こちらは問答無用で新しくPCを用意する必要があります。

高性能なGPUが登載されているならノートPCでもいけると思う人もいるようですが、VR非対応のノートPCではGPUの省エネ処理(Optimusテクノロジー)の関係でVRゴーグルが認識されないトラブルが出るようです。

また、ベンチマークのテスト結果が良くても実際には負荷が大きくて快適なプレイができないゲームやアプリも少なからずありますので、ベンチマークはあくまでも1つの指標ということをご理解頂きたいと思います。

・今回計測に使用したPC
 
今回計測に使用したのは5年前に自作したメインのPCです。所々改修しつつ使っていましたが、果たしてVRにも使えるPCとして生まれ変わることができるのでしょうか。
 
MB: ASUS P8Z68-V
CPU:Intel Core i7 2600K
RAM:A-DATA AX3U1600GC4G9-2G 2セット(16GB)
VGA:玄人志向GF-GTX570-E1280HD
PSU:ENERMAX EMG900EWT
OD:Pioneer BDR206JBK
SSD:crucial MX100シリーズ CT512MX100SSD1
SSD:SANDISK Ultra II SSDシリーズSDSSDHII-480G-J25C
CASE:Lina-Li PC-V2100 PLUS II(BK)
FAN:12cmケースファン×6
CPUクーラー:Corsair Hydro H60
FC:Scythe 風Q
SU:M-Audio DELTA1010
OS:Windows7 Profesional 64bit
 
・正確で的確なアドバイスを出すSteamVR Performance Test

SteamVR Performance TestはHTC Vive専用のパーフォーマンスチェックツールです。

SteamVR Performance Testを使用するにはSteamをインストールしてユーザー登録する必要がありますが、多くのVRゲーム・アプリがSteamを通して供給されているため、登録して損はありません。

SteamVR Performance TestはPCから使用しているパーツ情報を集めて形式的な判断するのではなく、実際にベンチマークテストを実施して実用に耐える性能を持っているか結果を出してくれます。

SteamVR-Performance-Test改善前

これが私のPCでSteamVR Performance Testを実行した結果です。
 
グラフの緑色の箇所は快適なVR体験が可能な領域で、黄色はやや性能不足のためVR酔いなどを誘発しやすい可能性が大きくなる領域、赤はVR体験など論外という領域です。

同時にパーツの色でどのパーツが性能を満たし、どのパーツが足を引っ張っているのか一目で分かるようになっています。

バグなのかOSがWindows 7 SP1なのに非SP1になっていますが、各パーツの色を見るとCPUは性能を十分に持っているようですが、GPUが絶対的な性能不足になっています。コメントでもGPUがボトルネックになっていることが書かれており、的確なアドバイスがもらえます。

5年前に組んだPCなのでこうなることは予想済みでした。そこで、新しくGTX 1060を登載したグラフィックボードに交換して再度計測してみたところ…。

SteamVR-Performance-Test改善後

グラフの赤い領域(論外)から緑の領域(快適)になり、快適なVR体験ができるPCに生まれ変わりました。OSは何もしていませんが、何故かSP1を正常に認識しています。

組んだ当時はハイスペックレベルのPCだったこともありますが、5年前のPC、しかも交換したのは3万弱のグラフィックボードのみでVR対応可能になったのですから、嬉しいところです。

・1分で計測できるOculus Rift互換性確認ツール
(Oculus Rift Compatibility Tool)

Oculus Rift互換性確認ツールはOculus Rift専用のパーフォーマンスチェックツールです。

SteamVR Performance Testと違い、PCに装着されたパーツの情報のみを収集して判断するため、チェックは1分で完了します。

残念ながら英語版しかないのですが、特に難しいことは書かれていませんので、PCに詳しい人なら理解できると思います。

Oculus-Rift互換性確認ツール改善前

実際にOculus Rift互換性確認ツールを使用して確認した結果がこちらです。

グラフィックボードの性能が低いのは分かっていることですが、CPUがNG扱いになっています。

Oculus RiftのCPU要求スペックはHTC Viveと同じですが、SteamVR Performance TestではOKでもOculus Rift互換性確認ツーでNGなのは実際に計測せず、パーツの情報のみで判断しているからでしょう。

また、特に気をつける点としてUSBがあげられます。

Oculus RiftはUSB3.0のポート数以外にもUSB3.0ホストコントローラーの指定をしてくるため、対応していないUSB3.0ホストコントローラーで使用した場合、センサー問題などトラブルの原因になるようです。

USB3.0ホストコントローラーが未対応表記になっているのであれば、対応したUSB3.0ホストコントローラーが登載されたUSB3.0 I/Fを導入する必要があります。

Oculus-Rift互換性確認ツール改善後

改善後がこの結果です。Oculus Riftの購入は見送ったので、GTX 1060を登載したグラフィックボードに交換しただけです。結果、グラフィックカードがOKに変化しています。

・Oculus Rift・HTC Vive両対応のGeForce Experience

GeForceのGPUが登載されたグラフィックボードを所有しているのであれば、GeForce Experienceがインストールされているので、そちらで確認することができます。

NVIDIA では GeForce GTX VR Ready プログラムというVRプラットホームを提唱しており。GeForce GTX VR Readyに対応していればOculus Rift・HTC Viveどちらでも快適にVR体験ができるとされています。

基本的には、要求性能がHTC Viveよりもやや厳しいOculus Riftに合せているようです。
※GeForce GTX VR Ready の要求性能はこちら

GeForce-Experience改善前

確認もベンチマーク形式ではなく、Oculus Rift互換性確認ツールと同じく形式的なものですが、NVIDIA側で各パーツのベンチマークをしっかりとやっているのか、Oculus Rift互換性確認ツールではNGだったCPUは問題なしになっています。

GeForce-Experience改善後

GTX 1060を登載したグラフィックボードに交換した後に再度確認してみましたが、GeForce GTX VR Readyは無事にクリアしています。

・無事にVR対応PCに

ということで、無事に私のPCは5年前に組んだスペックにもかかわらずVRに適した環境にすることができました。

今後、VR対応ゲーム・アプリの要求スペックが上がっていくのは目に見えているので、次は丸ごとパーツ交換か専用PCの導入になるでしょうが、最初のVR体験をする時点で肌に合わない可能性を考慮すると、無駄になる可能性のある新品のハイエンドPCを用意するのはリスクが大きすぎます。

古くてもPCゲーム向けのハイスペックPCなら、パーツ交換でVR環境を構築できる可能性がありますので、新しく買う前に一度チェックしてみると良いかもしれません。
 
残念ながら買い換えや、パーツ丸ごと交換が必要になった場合は、ショップやメーカーが保証してくれるVR対応モデルのPCも用意されていますので、そろえるのが面倒という場合は導入の検討してみると良いかもしれません。