GIGABYTE GB-BXBT-2807

よりによって忙しいこの時期に、NASに次いでサーバー用途ととして置いていた小型PCが逝ってしまいました。

今年は、PCの買い換えは無いと思っていた矢先で、どうしようか迷ったのですが、GIGABYTEの超小型PC BRIXシリーズが目につき、そのなかで、静音、省電力モデルのGB-BXBT-2807が用途にピッタリだったので導入することにしました。

CPUの性能よりも省スペース、静音性、省電力を求めたわけですが、使い方にピッタリとはまる選択だったと思う性能で、PCの更新は満足のいく結果となりました。

最近、Macminiの流れを受けてか、IntelがNUCという超小型のPCを規格化したのですが、その後、後を追うように各社もこぞって超小型PCを出し始め、気が付けば超小型PCの選択肢がかなり充実してきています。

中には3DのPCゲームが動くスペックを持つ、無茶な設計の物もみられますが、今回選んだのはサーバー用途なので、「省スペース」、「静音性」、「省電力」を重要視して選んでいます。

というのも、部屋兼寝室に設置するため、騒音は無いに越したことはありませんし、アイドルだけで無駄に電力を消費するようなパワフルなCPUも必要ありません。また、今後UPSの導入を考えているため、省電力あればあるほど停電時の稼働時間も延ばせることになります。
 

突然死したPC

元々サーバー用途として稼働していたPCは、2008年発売のMini-ITXマザーボードIntel D945GCLF2をInWin WAVY IIに組み込んだ自作の小型PCですが、さすがにファンレスとはいかず、静音ファンをファンコントローラーで絞って運用していました。

電源の故障でマザーボード自体は生きているようですが、Windows 7に切り替えてからは能力不足。そろそろ頃合いだろうと思っていました。

内容
GB-BXBT-2807は完成品ではなくベアボーンとなっています。内容はGB-BXBT-2807本体、ACアダプター、ドライバーディスク、VESAマウントブラケット、説明書、ネジ類です。

ACアダプター

ACアダプターはノートPCなどで使うような大きい物ではなく、外付けHDDやタブレットPCに使うレベルのもの。12V2.5A(30W)という表示には少し驚かされましたが、よくよく調べるとその理由も分かってきます。

VESAマウントブラケット

VESAマウントブラケットはGB-BXBT-2807をモニター背面のVESAマウントに取り付ける際に使用します。このプレートをあらかじめモニターのVESAマウントに取り付け、GB-BXBT-2807をスライドさせてはめ込むようになっています。
非常に小さい



本体は手のひらに載るサイズで、56.1mm x 107.6mm x 114.4mmとデスクトップPCとしては非常に小さな部類に入ります。

そのため拡張性はほとんど無いのですが、I/Fは小さいなりにも必要最低限の物は用意されていると感じます。

フロントと左横

フロントにはUSB3.0が搭載されています。USB3.0の外付けHDDを使えば、大容量のファイルサーバーとして運用もできます。

左サイドにはVGAポートとヘッドフォン/マイク兼用端子。

背面と右横

背面には電源コネクタ、HDMI出力、GigabitLAN、USB2.0×2ソケットが用意されています。面白いことに、HDMIとVGAポートは同時に使用できるので、GB-BXBT-28071台でマルチモニターにすることができます。

GB-BXBT-2807はベアボーンのため、組み立てには別途メモリとストレージが必要になります。

メモリに関しては、1.35Vの低電圧モデルSODIMM DDR3L規格のメモリのみ対応となっていますので、1.5VのSODIMM DDR3規格と間違えないように要注意です。

ストレージに関しては2.5インチのSATA HDD、もしくはSSDを使うことができますが、HDDは発熱しますし、折角のファンレスですのでSSDを使うことをお勧めします。

別途用意したもの

今回の組み立てにあたってはTeamのSODIMM DDR3L-1333 TED3L2GM1333C9-S01(2GB)と、逝ったサーバーPCから使い回すCrucial RealSSD C300 シリーズ 128GB、そして、この際だからと、不満だらけだった5インチ外付けDVDドライブの更新を兼ね、バッファローのUSB2.0の薄型外付けDVDドライブDVSM-PC58U2V/Nを買ってきました。
DVSM-PC58U2VN

小型PCでは光学ドライブが無いことも珍しくないのですが、光学ディスクを使う際には、この手の電源が不要な薄型外付けドライブを使うほうが、使い勝手が優れています(USBからOSインストールもできるが、それ以外の使用も兼ねての更新)。

裏ブタのネジを外し

組み立て時間は10分もあれば十分で、裏ブタのネジを外し、

メモリを差込み

裏ブタを外して内部へアクセスできるようにしたら、メモリを差込み、

裏蓋のマウントに取り付け

SSDもしくはHDDにSATAの通信と電源がセットになったコネクタを接続し、裏蓋のマウントに取り付けて、元に戻せば完成です。

重量

この状態で重量を量ってみましたが、482gと軽量です。

Mini-PCIeカード

なお、GB-BXBT-2807にはIEEE 802.11 b/g/n Wi-FiとBluetooth 4.0対応のMini-PCIeカードが取り付けられていますので、無線LAN親機に接続したり、Bluetoothマウスやキーボードを接続することができます。

なお、Mini-PCIeカードは取り替えが可能となっており、本体の体積が小さいので、できることは限られますが、Mini-PCIeカードを取り替え、SATAやUSBコネクタを追加するというキワモノMini-PCIeカードなどで、無理矢理拡張するのも面白いかもしれません。

OSのインストール

OSのインストールはUSB3.0のフラッシュメモリからインストールする方法が手早くて良いのですが、今回はUSB2.0の外付けDVDドライブを使いインストールしてみました。

ちなみにGB-BXBT-2807は64bitのWindows 7と8/8.1のみ対応となっているので、OSを合わせて買う際は32bit版を買わないように要注意です。

BSOD

今回インストールしたのはWindows7 Homeの64bit。日付を合わせる以外、特に設定をせずOSをインストールしているとBSODが発生しました。

初期不良かと思いながらも、BIOSで設定を見直してみたところ、使用するOSの設定箇所をWindows8/8.1にしていたため発生したようです。デフォルトはWindows8/8.1なので、Windows 7を使う場合は設定を切り替えないといけないようです(後から見たら説明書に載っていた・・・良く読めよ俺)。

OSインストール後、ファンレスどころかスピンレス(回転体がない)のため全く音もせず、ストレージへのアクセスもランプが無いため、稼働しているのか少し不安になるぐらいの静音ぶりには驚きましたが、就寝時にPCの音が耳につくことが無くなりました。


天板の温度

ファンレスだと筐体が熱くなり熱暴走を起こすこともありますが、WindowsUpdate中、CPUがほぼ100%ロードしている環境で計測したところ、天板の温度は室温23.1度に対して40.5度と、室温プラス17度という結果が出てきました。

CoreTempでCPUの温度を計測すると41~42度をうろうろしていたので、ほとんどCPUの温度と変わらないようです。負荷時が室温プラス17度なので、夏場、空調が効いていない部屋に置いておいても何とか持ちこたえそうです。

アイドル時

消費電力についてはアイドル時6W。

高負荷時

負荷時は10Wという結果が出てきました。アイドル時の6Wは驚異的ですが、その秘密はCPUにあります。

GB-BXBT-2807は型番にあるとおり、CPUにCeleron N2807を搭載しています。このCeleron N2807はAtomベースのCPUで、TDP4.3Wとと超省電力のため発熱も非常に低くなっています。

そのかわり、低価格帯のWindowsタブレット並みの性能(Atom Z3740にベンチマークで僅かに負けてしまう)のため、3DのPCゲームやエンコード処理といった高負荷な処理には耐えられません。どちらかというと、ネットや動画を見たり、Office系のソフトを使ったりといった軽負荷の作業に向いています。

具体的な性能を計るため、いくつかベンチマークをしてみました。

Windows エクスペリエンス インデックス

Windows エクスペリエンス インデックスはSSDのためディスクのデータ転送速度は高得点なのですが、他のスコアを見る限り一般的な使い方以上は期待できない数値です。

PC MARK8のスコア

PC Mark 8のスコアは1155。ビジネスモデルのPCでもこの倍は出るようです。どちらかというと、裏方作業向けのPCなので普段づかいには向いていない性能です。

有線LANの転送速度

ファイルサーバーにするのであれば有線LANの速度も気になるところ。計測では、PC同士で上がり(GB-BXBT-2807に保存)約73MB/s、下り(GB-BXBT-2807から読込み)約92MB/sという計測結果になりました。
※本体に内蔵したSSDを使用した場合 

YouTubeのHD動画

最後にブラウザで自身のブログやYoutubeを見てみましたが、ブログは読み込み時にスクロールするとカクつきが出ていましたが、YouTubeのHD動画に関してはスムーズに再生していました。

試してはいませんが、ブルーレイの再生ができる性能をもっているようで、ホームシアターPCとしても期待ができます。


●まとめ

小型で静音ということで24時間フル稼働させるサーバーに良し、HDMIでデジタルテレビと繋げてホームシアターPCにするも良し、メインPCの横に置いて裏で作業するも良しと、裏方作業をやらせるにはもってこいのPCだと思います。

CPUの性能は低く、サイズから拡張性は全く期待できませんが、静音性、省スペース、省電力を重視しているため、これらの要素を必要とする用途にはピッタリとはまると思います。

ファンレスのため夏場の熱暴走については僅かに不安が残りますが、今のところ、必要な要求は全て満たしており、GB-BXBT-2807に買換えて満足する結果になりました。