LDA9N-D-G

様々な分野の照明にLEDが採用され、家庭でLED照明を使っているとこもろ別段珍しく無くなってきました。

中には撮影に適した光を出すものもあり、撮影用に使ったらどうだろうかと前々から考えていたのですが、今回はそのテストをということで、白熱電球に近い演色がだせる家庭用の高演色タイプLED電球、東芝のLDA9N-D-Gを使いテストしてみました。

●LED電球について

私が撮影光源に求めるのは光量(全光束)ですが、これは三脚を極力使用しない撮影スタイルのためで、シャッタースピードを稼ぐために光量を必要としています。

しかし、今回求めたのは光量(全光束)ではなく「演色」です。演色とはどの程度光の特性が基準となる光に似ているかを表す指標で、日本では平均演色評価数を主に用い、Ra○○という数値表記でされます。

演色は高いほど自然な色合いで写るため、業務用の撮影光源ではRa90強のものが使われており、演色が高いほど撮影に向いている光源ともいえます。

ただし、技術的な問題かコスト的な問題かは分かりませんが、高演色のLED電球は全光束が低いものばかりで、今現在使用している電球形蛍光灯のF32W-Tの1650lm(電球150W相当)に対し、LDA9N-D-Gは550lm(電球40W相当)となっています。

本格的LEDテスト

なお、今回テストするLDA9N-D-Gの演色はRa90(LED電球は通常Ra80程度)と家庭用のLED電球としては演色性が高く、家庭用のLED電球のなかでは撮影に向いている仕様になっています。


●電球形蛍光灯と電球形LEDの違い

光源色々

ここで一度、電球形蛍光灯と電球形LEDの違いをおさらいしておきましょう。

電球形蛍光灯のメリットは・・・

売価が安い
光量(全光束)が高いものが数多くある
重量が軽い

逆にデメリットは・・・

緑の色かぶりが発生する
フリッカー(ちらつき)が必ず出る
回路が熱にやや弱い
経年劣化で光量が低下する
割れやすい
点灯・消灯の繰り返しに弱い
最大光量になるまで時間が必要
高演色タイプがほとんど無い

電球形蛍光灯の問題点は高演色タイプがほとんど無いことです。国内で販売しているといえばSOLANA-LT60RがRa99(実質Ra95)で売価がおよそ2千円とのこと、納期は3ヶ月と長く、個人では直販サイトでの購入しか選択肢がありません。

しかし、電球形蛍光灯は全光束が高い電球が手に入りやすいので(1650lmで1000円程度、地方のホームセンタにもあるほど)重宝しています。撮影時には電球150WクラスのF32W-Tを照明機材に4灯つけ、1つの照明が6600lmの明るさを発します。

電球形LEDのメリットは・・・

点灯・消灯の繰り返しに強い
点灯時から最大光量を発する(高演色タイプは色が安定するまで点灯から少し時間が必要)
長寿命
消費電力が低い
割れにくい
高演色タイプが比較的手に入れやすい

電球形LEDのデメリットは・・・

色かぶりがある
重たい
回路が熱に弱い
全光束で比較すると高価
フリッカー(ちらつき)が発生するものがある(最近健康問題が表面化したため法律で規制値が設けられた)
経年劣化で光量が低下する(メーカ設定寿命は光量が半減するところで設定)

電球形LEDは高価な点が問題です。家庭の常用灯として使うなら電気代で購入コストを短期間でペイできるのですが、撮影用の光源はそこまで長時間使用するわけではないので、電気代が安いというメリットはあまり感じることができません。

LED電球は重い
40Wクラスの電球型蛍光灯と比較

照明機材は複数個電球を取り付けることができますが、電球形LEDは重量があるのでバランスが悪化し、トップヘビー故に簡単にひっくり返ることもあります。

これでは消費電力が少なく、発熱が低いからといってアダプターで多灯にして光量を稼ごうにも、重量が増して簡単に倒れてしまい危険です。

メリットとしては、電球形蛍光灯にはほとんど無い高演色タイプのものが家電量販店やネットで簡単に手に入るほど出回っているという点でしょう。


●電球形蛍光灯と比較

電球40Wクラスの電球型蛍光灯と比較

今回テストにあたり、従来から使用しているF32W-TとLDA9N-D-Gと同じ電球40Wクラス相当の電球形蛍光灯三菱オスラムEFD10ED/8・HSを用意しました。光色は全て昼白色を使います。

ライトグラフィカの照明機材

使用する照明機材はいつも撮影に使用している、ライトグラフィカの照明機材です。

LEDでテスト

これに4灯ほど電球を取り付け被写体を照らします。

まず、最初にWBをグレーカードで調整し、マニュアルホワイトバランストで撮影し比較してみました。

レンズ蛍光灯
EFD10ED/8・HS

レンズLED
LDA9N-D-G

レンズについては、そもそも光を吸収する黒色を採用しているものが多いため、演色の差による違いはあるものの、特にどちらでも問題無いという感じです。むしろ机の色に目がいきます。

私のメイン被写体であるデジタルハードウェア関連では、高演色タイプの光源は恩恵を受けにくいようです。

インクカートリッジ蛍光灯
EFD10ED/8・HS

インクカートリッジLED
LDA9N-D-G

次にインクカートリッジを並べたものを撮影してみました。カラフルなカートリッジですが、意外にも差はほとんど見受けられません。

印刷されたものに対してはあまり効果がないのかもしれません。

手蛍光灯
EFD10ED/8・HS

手LED
LDA9N-D-G

次に自分の手を撮影してみました、これにはっきりと差が出ています。

蛍光灯は緑がかぶり不健康な色合いですが、LDA9N-D-Gでは健康的な色になっています。

肉蛍光灯
EFD10ED/8・HS

肉LED
LDA9N-D-G

次にお肉です。たまたま冷蔵庫にあった豚肉を撮影してみましたが、こちらも赤身に差が出ています。

お肉の色は赤みが強く出てきて美味しそうですが、トレイの色にも注目して下さい。LDA9N-D-Gで撮影したほうが綺麗に見えます。

そして高演色電球の効果が最も表れたのがドールでした。

ドール蛍光灯
EFD10ED/8・HS

ドールLED
LDA9N-D-G

蛍光灯下での写真は、あまりにも不健康的な肌色でWBが取れているのかすら怪しいと思うかもしれませんが、どちらともグレーカードでWBを適切に調整しています。

しかし、ここまで差が出るとは思いませんでした。ドールやフィギュアを撮影する際にカメラにこだわっている人は多いですが、光源にもこだわっているひとはどれだけいるのでしょうか?これだけ差が出るとなると高演色のLED電球を使わないと損をしている気分です。

次にWBを固定して撮影をしてみました。

太陽光WB LDA9N-D-G

LDA9N-D-Gは太陽光プリセットで撮影してみましたが、ほとんど違和感がありません。これならWBを太陽光に固定して撮影も可能でしょう。

太陽光WB 蛍光灯
WB太陽

曇りWB 蛍光灯
WB曇り

日陰WB 蛍光灯
WB日陰

対して蛍光灯は太陽、曇り、日陰設定で撮影してみました。蛍光灯は終始ずれている感じで、日陰設定がいい雰囲気になっていますが、どうしても緑かぶりが違和感を感じさせてしまいます。

日動の輝き

最後は光量です。LDA9N-D-Gは電球40Wクラスのため普段使用している電球150Wクラスの日動のF32W-Tとかなりの差があります。

LDA9N-D-Gと電球40Wクラス蛍光灯、電球150Wクラスの蛍光灯をシャッタースピードを固定して撮影してみました。

設定は絞りF4でシャッタースピードは1/100固定です。

1 100 蛍光灯
EFD10ED/8・HS

1 100 LDA9N-D-G
LDA9N-D-G

1 100 F32W-T
F32W-T

LDA9N-D-GとEFD10ED/8・HSは、同じ電球40Wクラスということもあり光量自体はほぼ同じでしたが、さすがに電球150Wクラスの日動のF32W-Tとは雲泥の差が出ています。

三脚を使わない撮影となると、この光量でも厳しいときがあり、LDA9N-D-Gを使うのであれば三脚は必須となります。

本格的LEDテスト

個人的に三脚を使うスタイルが好きではないのと、被写体が黒色を基調としたものが多いため、LDA9N-D-Gを撮影用に導入することは見送りですが、確かに高演色だと肉や肌の色は抜群に綺麗になるのは本当でした。

三脚必須ですが、食べ物や人・フィギュアやドールを撮影するのであれば、LDA9N-D-Gを撮影光源に使うのはありでしょう。