ASUS VivoTab Smart ME400Cはタブブレットの使用も前提とした新しいOS、Windows 8を搭載しています。タブレットPCとWindows 8の組合わせはどのような使い方となるのか?そして実用性はそこにあるのか?
前回のハードウェア編に引き続き、今回はOS・ソフトウェア編ということで、特に注目のWindows 8に焦点を当てていきます。
●Windows 8のModernUIはタブレットPCと相性抜群
ASUS VivoTab Smart ME400Cに搭載されているOSは無印のWindows 8になります。起動したらWindows 8の顔といってもいい、あのModernUI(旧MetroUI)が表示されます。
タブレットPCはデスクトップと比較すると画面が小さく、精密な操作が苦手なデバイスのため、いかに操作性を損なわないようにするかが重要です。
ModernUIでは、タイル上に貼られた大きなボタンをタッチするとアプリが起動するため、操作性はタブレットとして十分なレベルです。
ハードウェアキーボードが前提の従来Windows OSと違い、テキストボックスはタッチすると自動的にソフトキボードが表示され文字入力へと移ります。キーボードはキーピッチも広めで反応も良いため入力しやすいと感じます。
画面右側から中央に向けてフリックをすることでメニュー画面が出てくる「チャーム」は、時間やバッテリーの残量表示、各種設定画面へのアクセスやホームへの切替えなど、タブレットとして重要な操作が追加されています。
他のタブレットにもチャームに似たような機能はありますが、完成度としてはWindows 8のチャームがGUI的に優れていると感じます。
ModernUIで起動するアプリは全画面表示が義務づけられているので、他のタブレットOSと同じく全画面表示でアプリが立ち上がります。
GUIも小さな画面でも操作性を損なわないように最適化されているため操作性は悪くありません。 しかし、設定などの画面を出す操作は、画面上の設定ボタンをタッチするのではなく、画面上部や下部から中央に向けてフリックするという操作は独特の操作で未だに慣れないところです。
立ち上げているアプリの切替えは非常に操作性が良く、左から画面中央にフリックすることで即座に切替えることができます。
また、左から画面中央にフリックしてそのまま画面左へ戻すと、起動しているアプリの一覧が表示されます。Androidにも似たような機能がありますが、Windows 8が凄いのはそこから先があることです。
左から画面中央にフリックしてそのまま画面左へ戻しそのままにしておくと、もう1つのアプリが小さな画面で表示されます。マルチタスクについてはiOSもAndroidOSも対応していますが、Windows 8はマルチウィンドにも対応しています。
マルチウィンド機能は横画面のみの対応ですが、小さい画面表示でも操作に対応しているので、一部のアプリでは制限は有るものの同時に2つのアプリを操作することができます。
ModernUIはWindows 8の一番の売だけあって、タブレットPCとの相性は非常に良く仕上がっていると感じます。
●初期状態のModernUI
ModernUIについてはスマートフォンのホーム画面と、アプリ選択画面を融合させたもので、大きな画面を前提としているためアイコン上にステータスが表示されるという特徴があります。
フォトであれば保存している写真や画像がスライドショーのようにアイコン上で流れますし、ニュースアプリは記事の一部を表示したりと他のモバイル系OSにはない機能です。
初期状態のModernUIではMicrosoftのWebサービスBingのニュースやカレンダー、株価情報などのビジネス系アプリ。
フォト、ミュージック、ビデオ、カメラなどのパーソナル系アプリ。
InternetExplorerやメール、Skypeといったインターネット連携サービス。 また、タブレットやスマートフォンでは必須の地図のアプリや、いまや当たり前となったクラウドストレージもSkydriveを対応させることで実現しています。
写真や画像の表示、動画や音楽再生といったものに関しては特に不満を感じません。
ニュースアプリについては対応しているニュースサイトがBingなのですが、驚いたことにWebでは使いづらいイメージしかなかったBingが、ニュースアプリでGUIを一新することで実用性のあるものに仕上がっています。
メールアプリについては、何故かMicrosoftアカウントでサインインする必要があり、メールサーバーはIMAPに対応したもののみサポートする仕様となっています。
私が普段使用しているメールサーバーはIMAPに対応していないため、メールアプリではメールが使えず、操作性が悪いデスクトップ環境でLiveメールにて対応するしかありませんでした。
ModernUIの初期状態で表示されているアプリについては普段使用していないアプリもありますが、必要がなければ非表示にできますし、アイコンの順番を入れ替えることも可能です。
アイコンをタッチしたまま下へフリックしていくとアイコンの操作ができますが、移動する場合に必要なフリックの距離が大きすぎるので、もう少し操作を改善してほしいところです。
Windowsストアアプリや従来のWindowsアプリケーションをインストールすると、タイルの右端に追加されることになります。
従来のWindowsアプリケーションのなかには複数のアプリケーションを束ねたものがあり、そのようなアプリケーションをインストールするとアイコンがその分追加されModernUIが見づらくなりますので少し考え物です。
●プリインストールアプリは少なくスッキリ
PCメーカー製のタブレットPCだけに不要なプリインストールアプリはほとんどありません。
初期状態でASUSがプリインストールしているアプリはModernUI対応では
ASUS Camera:カメラ用のアプリ(OS純正より多機能)
MyLibrary:電子書籍用アプリ(ファイル読み込み型)
MyDictionary:辞書と翻訳アプリ
Guide:操作説明書
SuperNote:EvernoteやOneNoteのようなスクラップブックアプリ
ASUS WebStorage:ASUSのクラウドストレージ
asus@vide Fun Center:フリーのミュージックコンテンツ
Fingershare:Wi-FiやNFCを使用するローカルファイルの簡単共有化アプリ
となっており、デスクトップ機能限定としてドライバーやBIOSのアップデートツールがプリインストールされています。
プリインストールアプリが少ないおかげで、ModernUIに使いもしないアプリがところせましと表示されることもなく、比較的簡単にModernUIのアイコンを整理することができますし、何よりストレージの容量を無駄に消費されることもありません。
●従来のWindowsアプリケーションに足を引っ張られるWindowsストアアプリ
2013年2月19日現在、MetroStore Scannerによると全言語版合わせて43,000以上ものアプリが出ているのですが、Windowsストアアプリで公開されている日本向けのアプリは僅かです。
使いやすいModernUIという土台があっても、その上で動くものがなければ意味がありません。
しかし、この点においては従来のWindowsアプリケーションが使用できるという、Windows OSならではのメリットが逆に足を引っ張っているともえいえます。
そもそも、デスクトップPCなどタッチパネルを備えていない、もしくは備える必要性を感じないPC環境ではModernUIは不要な機能で、従来のWindowsアプリケーションが使えればそれで十分です。
ですから、ModernUIに対応したWindowsストアアプリの開発が遅れている原因の1つに、従来のWindowsアプリケーションが使用できるという点があるものと十分に考えられます。
また、原因としてもう1点、WindowsストアアプリのなかにはWindowsRTで採用しているARM系CPUにも対応しているアプリがあります。
ARM系CPUに対応させる場合は、従来のx86CPUのプログラミングとはまた違った構成となるため、ストアへ登録するためのアプリ認証を通過するのにプログラマーはかなり苦労しているようです。
このようなことから、Windowsストアアプリの数が少ないという現在の状態ができているのだと考えられます。
Windows 8の1ユーザーとして、一刻も早くストアの日本語対応アプリを拡充して欲しいところです。
また、ASUS VivoTab Smart ME400CはGPSセンサーを搭載していますし、今後もGPSセンサーを搭載したWindows 8タブレットPCが出るだろうと予想されるので、出来ればナビアプリもお願いしたいところです。
●デスクトップ機能は問題が山積み
忘れてはいけないのがWindows 8はデスクトップやノートPCのOSとしても開発されているということです。そのため、従来のデスクトップ機能があるのですが、このデスクトップ機能は問題が山積みでした。
タブレットPCよりも大きな画面で、操作性の良いマウスを使うことを前提として開発されたWindowsのGUIは、そのままだとタブレットPCには不向きです。
しかし、デスクトップ機能は従来のWindows OSと変わらず、タブレットでの操作に最適化されていません。結果、不満やストレスに感じる箇所がいくつも出てきます。
一番の問題はソフトキーボードです。ModernUIに対応したWindowsストアアプリではテキスト入力箇所になると自動でソフトキーボードが出てきましたが、デスクトップ機能ではソフトキーボードは手動で出し入れする必要があります。
しかも、ソフトキーボードが出ると画面が上がらず、キーボードの出てくるスペースがそのまま隠れてしまうため、画面半分より下に入力箇所があった場合、入力している文字が全く見えなくなります。
操作ボタンやメニュー表示も小さく見づらいため、オプションでGUIのサイズを変更して125%に切替えていますが、それでもボタンやメニューを押し間違えることがあります。
この設定の数値を大きくすると操作性が上がるのですが、逆に表示が崩れウィンド内に納まりきれずに一部が表示されないアプリもあるため困りものです。
デスクトップ機能ではスタートボタンが無くなったため、設定画面やアプリケーションへのアクセスが悪くなっています。
しかし、キーボードのスタートボタンは使えなくなったわけではなく、スタートボタンを押すと出てくるのはModernUIとなっています。
MicrosoftとしてはModernUIからアプリを起動することが前提のようですが、ModernUIではなく従来のスタートボタンを用意するなり、Macのようにショートカットを置くなりしてもらいたいところです。
タブレットPCだけに画面の縦横切替えは当たり前のようにできますが、そのたびにデスクトップに左右に分けて並べておいたアイコンの並びが崩れます。
左側のみにアイコンを置いていたり、自動整列機能を活用している人は特に問題はありませんが、画面の左右にアイコンを分けておくタイプの人には問題となってしまいます。
困ったことにスタートメニューは廃止され使い勝手がさらに落ちていますので、デスクトップ機能では各種ショートカットをフォルダに入れるという方法で対応し、アイコンを必要最適限のみ置くことで対応しました。
また、使用頻度が高いアプリケーション類はランチャーで起動させることでデスクトップ機能の操作性を改善しています。
しかしGUIの作り自体がキーボードとマウスに最適化されているため、キビキビと操作するにはキーボードとマウスが必須となります。
●ログインはMicrosoftアカウントで各種サービス連携
Window8では従来のローカルアカウント形式ではなくMicrosoftアカウントを使用することが推奨されています。
従来のWindowsではローカルアカウント(ユーザー)を作成していましたが、Windows 8からはMicrosoftアカウントを初期起動時に作成して、そのアカウントでログインする方式になっています。
これはiOSやAndroidでは標準的なアカウントの取り扱いなのですが、この方式を採用することにより、SkydriveやMicrosoftストアなどのWindows8の標準サービスを使用する際に、再度IDとパスワードを入力してログインする必要がなくなるというメリットが出てきます。
もちろん従来のローカルアカウント方式も使用できますが、この場合、Microsoftアカウントでログインする必要があるサービスについては、IDとパスワードを入力する必要があります。
SMBサーバーやNASでのユーザー管理をOSのローカルユーザーのアカウントで識別してる場合は、Microsoftアカウントを使用すると、SMBサーバーやNASにアクセスるする際にIDとパスワードを入力する必要が出てきます。
どちらにするかは運用次第だといえるでしょうが、個人的に使用するのであればMicrosoftアカウントで登録することをお勧めします。
なお、一定時間スリープするとスリープ解除時にパスワードを求められますが、数時4ケタのPINコードや、画像の上で特定のフリック操作をすることでロックを解除する機能を使いパスワード入力の代用も可能となっています。
●バックアップと工場出荷状態へ初期化するには
Windows 8のバックアップ機能はタブレットPCに合わせて変化しました。
Windows7ではハードディスクのイメージを丸ごとバックアップしていたため、障害発生時にバックアップを取った時点の状態を回復させることができました。
反面、ハードディスクのイメージを丸ごとバックアップするためには大容量のストレージと、イメージ作成のために長い作業時間が必要となります。
タブレットPCでは外付けHDDや光学ドライブの使用は想定外ですし、バッテリーで動くこともあって時間には限りがあります。
そこで、Windows 8のバックアップ機能はユーザーのファイルのみを対象とし、バックアップ時間を短縮化させています。
また、工場出荷状態への初期化についてはタブレットPCらしく、ボタン一つでリセットをかけることができます。
従来のPCでは、リカバリー用の光学ディスクが付属したり、起動時に復元用のディスクを作製するように求められましたが、タブレットPCでは光学ディスクに対応していないため、内蔵ストレージ内に回復用のためのパーティションを設けている、メーカー製のPCで良く使われている手法が採用されています。
この回復パーティションはUSBフラッシュメモリにコピーすることができるため、ストレージの回復パーティションを誤って消すようなことがあったとしても、USBフラッシュメモリから起動してOSを回復させることができます。
もちろん、デスクトップやノートPCで使用する際には便利なドライブイメージをバックアップする、Windows 7のファイル回復という機能も用意されています。
●従来のWindowsアプリケーションを使用することができる
ModernUIではデメリットの原因かもしれないと指摘した、従来のWindowsアプリケーションが使用できる点ですが、元よりこちらの機能をメインで使用する人にはメリットであるといえるでしょう。
特に、MicrosoftのOfficeで制作したファイルについては、互換性の問題から表示が崩れたり、一部表示しなかったりと互換性も完全ではありませんでした。
しかし、純正であるMicrosoftのOfficeが使えるのでその点は全く問題がありません、タブレットPCでデザインの確認をしたり、使えない機能のため作業の効率を落とす必要は全く無くなります。
また、愛用しているWindowsアプリケーションもデクストップ機能で使用することができるので、今までの知識や資産を活かすことができます。
●エクスプローラーと共有フォルダでビジネスに便利
私がWindows 8タブレットに期待したのはエクスプローラーの使い勝手です。
標準のファイルマネージャーであるエクスプローラーはどのバージョンのWindows OSでも使い勝手良いものばかりです。 特にNASとの連携は非常に良く、ファイルを端末にダウンロードせずにそのまま開くことができます。これはファイルをNASで一元管理している私にとっては非常に大事な要素です。
iOSではNASとの連携は限定的なものに留まり、AndroidタブレットではiOSよりも使いやすいものの、開けるファイルに制限があったりと、NASを活用している私には不満でしたが、この不満はWindowsにはありません。
家庭でこのような使い方をしている人はごく一部のユーザーに留まるでしょうが、ビジネスだとどうでしょうか。
企業ではNASやSMBサーバーを活用してる所は数多くあります。私が務める会社もSMBファイルサーバーを活用しています。
サーバーに業務で使用する全てのファイルを置いておくことで、業務に使用しているデスクトップでも、ASUS VivoTab Smart ME400Cでも同じようにアクセすることができるようになります。
会議の途中で用意していない資料を確認する場合や、人へその資料を見せるといった行為も素早く行うことできますし、Microsoft Officeを使用するため互換性の問題が困ることはありません。
必要とあれば、そこからGoogle Cloud PrintやApple AirPrintのような簡易的なプリント機能ではなく、プリンタードライバーを介した本格的なプリント機能で印刷することができます。
この点から、ビジネスシーンにおける使用についてはプレゼン用途だけでなく、一般事務レベルでも活用できるタブレットPCだといえます。
実際に今も業務に活用していますが、プライベートでは不満があったのが嘘のように、出来るタブレットに見えるようになったのは、未だにビジネス界ではWindowsが圧倒的に有利だという現れなのかもしれません。
●まとめ
ModernUIだけ見れば、タブレットPCとして完成度は高いのですが、肝心のアプリが無いという現状でプライベートでの運用は難しいと感じます。
従来のアプリケーションが使用できるのがWindowsRTと違い救いなのですが、タブレットに全くといって良いほど最適化されていないデスクトップ機能で起動するため操作性はModernUIで動くWindowsストアアプリとは雲泥の差です。
現状では万人に勧めるには時期早々という感じですが、ビジネスシーンで利用をしてみた限りでは、ビジネスユースはWindowsだけに向いていると感じます。
今時点ではASUS VivoTab Smart ME400CについてはWindows環境ではないと困る、もしくは一般事務を含めたビジネス向けとしてのタブレットPCといえるでしょう。
ASUS VivoTab Smart ME400Cに搭載されているOSは無印のWindows 8になります。起動したらWindows 8の顔といってもいい、あのModernUI(旧MetroUI)が表示されます。
タブレットPCはデスクトップと比較すると画面が小さく、精密な操作が苦手なデバイスのため、いかに操作性を損なわないようにするかが重要です。
ModernUIでは、タイル上に貼られた大きなボタンをタッチするとアプリが起動するため、操作性はタブレットとして十分なレベルです。
ハードウェアキーボードが前提の従来Windows OSと違い、テキストボックスはタッチすると自動的にソフトキボードが表示され文字入力へと移ります。キーボードはキーピッチも広めで反応も良いため入力しやすいと感じます。
画面右側から中央に向けてフリックをすることでメニュー画面が出てくる「チャーム」は、時間やバッテリーの残量表示、各種設定画面へのアクセスやホームへの切替えなど、タブレットとして重要な操作が追加されています。
他のタブレットにもチャームに似たような機能はありますが、完成度としてはWindows 8のチャームがGUI的に優れていると感じます。
ModernUIで起動するアプリは全画面表示が義務づけられているので、他のタブレットOSと同じく全画面表示でアプリが立ち上がります。
GUIも小さな画面でも操作性を損なわないように最適化されているため操作性は悪くありません。 しかし、設定などの画面を出す操作は、画面上の設定ボタンをタッチするのではなく、画面上部や下部から中央に向けてフリックするという操作は独特の操作で未だに慣れないところです。
立ち上げているアプリの切替えは非常に操作性が良く、左から画面中央にフリックすることで即座に切替えることができます。
また、左から画面中央にフリックしてそのまま画面左へ戻すと、起動しているアプリの一覧が表示されます。Androidにも似たような機能がありますが、Windows 8が凄いのはそこから先があることです。
左から画面中央にフリックしてそのまま画面左へ戻しそのままにしておくと、もう1つのアプリが小さな画面で表示されます。マルチタスクについてはiOSもAndroidOSも対応していますが、Windows 8はマルチウィンドにも対応しています。
マルチウィンド機能は横画面のみの対応ですが、小さい画面表示でも操作に対応しているので、一部のアプリでは制限は有るものの同時に2つのアプリを操作することができます。
ModernUIはWindows 8の一番の売だけあって、タブレットPCとの相性は非常に良く仕上がっていると感じます。
●初期状態のModernUI
ModernUIについてはスマートフォンのホーム画面と、アプリ選択画面を融合させたもので、大きな画面を前提としているためアイコン上にステータスが表示されるという特徴があります。
フォトであれば保存している写真や画像がスライドショーのようにアイコン上で流れますし、ニュースアプリは記事の一部を表示したりと他のモバイル系OSにはない機能です。
初期状態のModernUIではMicrosoftのWebサービスBingのニュースやカレンダー、株価情報などのビジネス系アプリ。
フォト、ミュージック、ビデオ、カメラなどのパーソナル系アプリ。
InternetExplorerやメール、Skypeといったインターネット連携サービス。 また、タブレットやスマートフォンでは必須の地図のアプリや、いまや当たり前となったクラウドストレージもSkydriveを対応させることで実現しています。
写真や画像の表示、動画や音楽再生といったものに関しては特に不満を感じません。
ニュースアプリについては対応しているニュースサイトがBingなのですが、驚いたことにWebでは使いづらいイメージしかなかったBingが、ニュースアプリでGUIを一新することで実用性のあるものに仕上がっています。
メールアプリについては、何故かMicrosoftアカウントでサインインする必要があり、メールサーバーはIMAPに対応したもののみサポートする仕様となっています。
私が普段使用しているメールサーバーはIMAPに対応していないため、メールアプリではメールが使えず、操作性が悪いデスクトップ環境でLiveメールにて対応するしかありませんでした。
ModernUIの初期状態で表示されているアプリについては普段使用していないアプリもありますが、必要がなければ非表示にできますし、アイコンの順番を入れ替えることも可能です。
アイコンをタッチしたまま下へフリックしていくとアイコンの操作ができますが、移動する場合に必要なフリックの距離が大きすぎるので、もう少し操作を改善してほしいところです。
Windowsストアアプリや従来のWindowsアプリケーションをインストールすると、タイルの右端に追加されることになります。
従来のWindowsアプリケーションのなかには複数のアプリケーションを束ねたものがあり、そのようなアプリケーションをインストールするとアイコンがその分追加されModernUIが見づらくなりますので少し考え物です。
●プリインストールアプリは少なくスッキリ
PCメーカー製のタブレットPCだけに不要なプリインストールアプリはほとんどありません。
初期状態でASUSがプリインストールしているアプリはModernUI対応では
ASUS Camera:カメラ用のアプリ(OS純正より多機能)
MyLibrary:電子書籍用アプリ(ファイル読み込み型)
MyDictionary:辞書と翻訳アプリ
Guide:操作説明書
SuperNote:EvernoteやOneNoteのようなスクラップブックアプリ
ASUS WebStorage:ASUSのクラウドストレージ
asus@vide Fun Center:フリーのミュージックコンテンツ
Fingershare:Wi-FiやNFCを使用するローカルファイルの簡単共有化アプリ
となっており、デスクトップ機能限定としてドライバーやBIOSのアップデートツールがプリインストールされています。
プリインストールアプリが少ないおかげで、ModernUIに使いもしないアプリがところせましと表示されることもなく、比較的簡単にModernUIのアイコンを整理することができますし、何よりストレージの容量を無駄に消費されることもありません。
●従来のWindowsアプリケーションに足を引っ張られるWindowsストアアプリ
2013年2月19日現在、MetroStore Scannerによると全言語版合わせて43,000以上ものアプリが出ているのですが、Windowsストアアプリで公開されている日本向けのアプリは僅かです。
使いやすいModernUIという土台があっても、その上で動くものがなければ意味がありません。
しかし、この点においては従来のWindowsアプリケーションが使用できるという、Windows OSならではのメリットが逆に足を引っ張っているともえいえます。
そもそも、デスクトップPCなどタッチパネルを備えていない、もしくは備える必要性を感じないPC環境ではModernUIは不要な機能で、従来のWindowsアプリケーションが使えればそれで十分です。
ですから、ModernUIに対応したWindowsストアアプリの開発が遅れている原因の1つに、従来のWindowsアプリケーションが使用できるという点があるものと十分に考えられます。
また、原因としてもう1点、WindowsストアアプリのなかにはWindowsRTで採用しているARM系CPUにも対応しているアプリがあります。
ARM系CPUに対応させる場合は、従来のx86CPUのプログラミングとはまた違った構成となるため、ストアへ登録するためのアプリ認証を通過するのにプログラマーはかなり苦労しているようです。
このようなことから、Windowsストアアプリの数が少ないという現在の状態ができているのだと考えられます。
Windows 8の1ユーザーとして、一刻も早くストアの日本語対応アプリを拡充して欲しいところです。
また、ASUS VivoTab Smart ME400CはGPSセンサーを搭載していますし、今後もGPSセンサーを搭載したWindows 8タブレットPCが出るだろうと予想されるので、出来ればナビアプリもお願いしたいところです。
●デスクトップ機能は問題が山積み
忘れてはいけないのがWindows 8はデスクトップやノートPCのOSとしても開発されているということです。そのため、従来のデスクトップ機能があるのですが、このデスクトップ機能は問題が山積みでした。
タブレットPCよりも大きな画面で、操作性の良いマウスを使うことを前提として開発されたWindowsのGUIは、そのままだとタブレットPCには不向きです。
しかし、デスクトップ機能は従来のWindows OSと変わらず、タブレットでの操作に最適化されていません。結果、不満やストレスに感じる箇所がいくつも出てきます。
一番の問題はソフトキーボードです。ModernUIに対応したWindowsストアアプリではテキスト入力箇所になると自動でソフトキーボードが出てきましたが、デスクトップ機能ではソフトキーボードは手動で出し入れする必要があります。
しかも、ソフトキーボードが出ると画面が上がらず、キーボードの出てくるスペースがそのまま隠れてしまうため、画面半分より下に入力箇所があった場合、入力している文字が全く見えなくなります。
操作ボタンやメニュー表示も小さく見づらいため、オプションでGUIのサイズを変更して125%に切替えていますが、それでもボタンやメニューを押し間違えることがあります。
この設定の数値を大きくすると操作性が上がるのですが、逆に表示が崩れウィンド内に納まりきれずに一部が表示されないアプリもあるため困りものです。
デスクトップ機能ではスタートボタンが無くなったため、設定画面やアプリケーションへのアクセスが悪くなっています。
しかし、キーボードのスタートボタンは使えなくなったわけではなく、スタートボタンを押すと出てくるのはModernUIとなっています。
MicrosoftとしてはModernUIからアプリを起動することが前提のようですが、ModernUIではなく従来のスタートボタンを用意するなり、Macのようにショートカットを置くなりしてもらいたいところです。
タブレットPCだけに画面の縦横切替えは当たり前のようにできますが、そのたびにデスクトップに左右に分けて並べておいたアイコンの並びが崩れます。
左側のみにアイコンを置いていたり、自動整列機能を活用している人は特に問題はありませんが、画面の左右にアイコンを分けておくタイプの人には問題となってしまいます。
困ったことにスタートメニューは廃止され使い勝手がさらに落ちていますので、デスクトップ機能では各種ショートカットをフォルダに入れるという方法で対応し、アイコンを必要最適限のみ置くことで対応しました。
また、使用頻度が高いアプリケーション類はランチャーで起動させることでデスクトップ機能の操作性を改善しています。
しかしGUIの作り自体がキーボードとマウスに最適化されているため、キビキビと操作するにはキーボードとマウスが必須となります。
マイクロソフト Wedge Mobile Keyboard for Business Bluetooth U7R-00022
●ログインはMicrosoftアカウントで各種サービス連携
Window8では従来のローカルアカウント形式ではなくMicrosoftアカウントを使用することが推奨されています。
従来のWindowsではローカルアカウント(ユーザー)を作成していましたが、Windows 8からはMicrosoftアカウントを初期起動時に作成して、そのアカウントでログインする方式になっています。
これはiOSやAndroidでは標準的なアカウントの取り扱いなのですが、この方式を採用することにより、SkydriveやMicrosoftストアなどのWindows8の標準サービスを使用する際に、再度IDとパスワードを入力してログインする必要がなくなるというメリットが出てきます。
もちろん従来のローカルアカウント方式も使用できますが、この場合、Microsoftアカウントでログインする必要があるサービスについては、IDとパスワードを入力する必要があります。
SMBサーバーやNASでのユーザー管理をOSのローカルユーザーのアカウントで識別してる場合は、Microsoftアカウントを使用すると、SMBサーバーやNASにアクセスるする際にIDとパスワードを入力する必要が出てきます。
どちらにするかは運用次第だといえるでしょうが、個人的に使用するのであればMicrosoftアカウントで登録することをお勧めします。
なお、一定時間スリープするとスリープ解除時にパスワードを求められますが、数時4ケタのPINコードや、画像の上で特定のフリック操作をすることでロックを解除する機能を使いパスワード入力の代用も可能となっています。
●バックアップと工場出荷状態へ初期化するには
Windows 8のバックアップ機能はタブレットPCに合わせて変化しました。
Windows7ではハードディスクのイメージを丸ごとバックアップしていたため、障害発生時にバックアップを取った時点の状態を回復させることができました。
反面、ハードディスクのイメージを丸ごとバックアップするためには大容量のストレージと、イメージ作成のために長い作業時間が必要となります。
タブレットPCでは外付けHDDや光学ドライブの使用は想定外ですし、バッテリーで動くこともあって時間には限りがあります。
そこで、Windows 8のバックアップ機能はユーザーのファイルのみを対象とし、バックアップ時間を短縮化させています。
また、工場出荷状態への初期化についてはタブレットPCらしく、ボタン一つでリセットをかけることができます。
従来のPCでは、リカバリー用の光学ディスクが付属したり、起動時に復元用のディスクを作製するように求められましたが、タブレットPCでは光学ディスクに対応していないため、内蔵ストレージ内に回復用のためのパーティションを設けている、メーカー製のPCで良く使われている手法が採用されています。
この回復パーティションはUSBフラッシュメモリにコピーすることができるため、ストレージの回復パーティションを誤って消すようなことがあったとしても、USBフラッシュメモリから起動してOSを回復させることができます。
もちろん、デスクトップやノートPCで使用する際には便利なドライブイメージをバックアップする、Windows 7のファイル回復という機能も用意されています。
●従来のWindowsアプリケーションを使用することができる
ModernUIではデメリットの原因かもしれないと指摘した、従来のWindowsアプリケーションが使用できる点ですが、元よりこちらの機能をメインで使用する人にはメリットであるといえるでしょう。
特に、MicrosoftのOfficeで制作したファイルについては、互換性の問題から表示が崩れたり、一部表示しなかったりと互換性も完全ではありませんでした。
しかし、純正であるMicrosoftのOfficeが使えるのでその点は全く問題がありません、タブレットPCでデザインの確認をしたり、使えない機能のため作業の効率を落とす必要は全く無くなります。
また、愛用しているWindowsアプリケーションもデクストップ機能で使用することができるので、今までの知識や資産を活かすことができます。
●エクスプローラーと共有フォルダでビジネスに便利
私がWindows 8タブレットに期待したのはエクスプローラーの使い勝手です。
標準のファイルマネージャーであるエクスプローラーはどのバージョンのWindows OSでも使い勝手良いものばかりです。 特にNASとの連携は非常に良く、ファイルを端末にダウンロードせずにそのまま開くことができます。これはファイルをNASで一元管理している私にとっては非常に大事な要素です。
iOSではNASとの連携は限定的なものに留まり、AndroidタブレットではiOSよりも使いやすいものの、開けるファイルに制限があったりと、NASを活用している私には不満でしたが、この不満はWindowsにはありません。
家庭でこのような使い方をしている人はごく一部のユーザーに留まるでしょうが、ビジネスだとどうでしょうか。
企業ではNASやSMBサーバーを活用してる所は数多くあります。私が務める会社もSMBファイルサーバーを活用しています。
サーバーに業務で使用する全てのファイルを置いておくことで、業務に使用しているデスクトップでも、ASUS VivoTab Smart ME400Cでも同じようにアクセすることができるようになります。
会議の途中で用意していない資料を確認する場合や、人へその資料を見せるといった行為も素早く行うことできますし、Microsoft Officeを使用するため互換性の問題が困ることはありません。
必要とあれば、そこからGoogle Cloud PrintやApple AirPrintのような簡易的なプリント機能ではなく、プリンタードライバーを介した本格的なプリント機能で印刷することができます。
この点から、ビジネスシーンにおける使用についてはプレゼン用途だけでなく、一般事務レベルでも活用できるタブレットPCだといえます。
実際に今も業務に活用していますが、プライベートでは不満があったのが嘘のように、出来るタブレットに見えるようになったのは、未だにビジネス界ではWindowsが圧倒的に有利だという現れなのかもしれません。
●まとめ
ModernUIだけ見れば、タブレットPCとして完成度は高いのですが、肝心のアプリが無いという現状でプライベートでの運用は難しいと感じます。
従来のアプリケーションが使用できるのがWindowsRTと違い救いなのですが、タブレットに全くといって良いほど最適化されていないデスクトップ機能で起動するため操作性はModernUIで動くWindowsストアアプリとは雲泥の差です。
現状では万人に勧めるには時期早々という感じですが、ビジネスシーンで利用をしてみた限りでは、ビジネスユースはWindowsだけに向いていると感じます。
今時点ではASUS VivoTab Smart ME400CについてはWindows環境ではないと困る、もしくは一般事務を含めたビジネス向けとしてのタブレットPCといえるでしょう。
コメント
昨日この機種を買い1日使い倒しましたがビジネス用途前提なので全く同感です。Atom CPUですが予想外にきびきび動くのでこれからOfficeソフトの使用に期待しています。
共有フォルダやNASへのアクセスが簡単、DropboxもiOSやAndroidのように毎回ダウンロードする必要が無いので最新の状態、Microsoft Officeが使えるということで、今もオフィスで活躍しています。
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