7インチクラスタブレット徹底検討



GoogleはNexus 7を発売し、AppleはiPad miniを発表、Amazonも呼応するかのようにKindle Fire HDを予約開始と、7インチクラスタブレット市場が熱くなってきました。

「どのタブレットも人気なのは分かるが、自分に合ったタブレットはいったいどれなのか?」今回はその疑問に答えるべく、各タブレットの魅力を解き明かしつつ、どのタブレットを選ぶべきなのか解説していきたいとおもいます。

Nexus 7

●性能と価格のバランスが素晴らしいGoogle Nexus 7


すでに購入し、その性能を存分に味わっているGoogle Nexus 7。今後32GB版の登場も予定しているようで、ますますその人気が加速しそうな勢いです。高性能なCPUを搭載しつつ2万円を切るという価格設定で一躍人気となりましたが、この流れは止まりそうにありません。


搭載OSのAndroidはPCに近い作り

Nexus 7はAndroidOSを搭載していますが、操作性は異なるもののファイルの扱いやカスタマイズの幅の広さはPCに近いものがあります。

たとえばiOSではホーム画面を担当するアプリを変更することができません。しかしAndroidはホームアプリが多数用意されているので自分にあったホームにすることができます。

またWindowsOSでいうガジェットにあたる「ウジェット」という機能があり、ホーム画面にカレンダーやミュージックプレイヤー、スケジュールなどを表示することができるので、アプリを立ち上げて確認する必要もありません。
※iOSのウジェット機能は名前こそ同じものの全く異なる機能です

iOSは基本的にAppストア以外でアプリをインストールすることはできません。Appleの審査を通ったアプリのみしか使うことができないのですが、Androidは純正ストアであるGooglePlay以外にも様々なアプリマーケットがあり自由にアプリを使うことができます。

また、個人がブログやWebサイトで公開しているアプリをインストールすることができ、このおかげで、Android4.xから非対応となったFlash PlayerもNexus 7で使うことができるなど、ユーザーが自由に調整して使うことができるOSです。

ただし、信頼のおけるサイトからアプリをダウンロードしないと「実はウイルスアプリだった!」という可能性もあります。実際にこの手の事件が発生しているので要注意です。

ファイルの管理はファイルマネージャ方式で、簡単に言えばエクスプローラーと同じ感覚と思えば分かりやすいでしょう。
※要ファイルマネージャアプリ


クアッドコアで高性能

Nexus 7の人気の秘密が高性能なクアッドコアCPUを搭載したTegra3を採用していることです。従来のTegra2の1.5倍のスコアをベンチマークテストで叩き出しておきながら、コアの制御を負荷によって切替えることにより低負荷時の消費電力を削減してバッテリーの持ちを大幅に改善しています。

このTegra3により、スイスイとアプリが動くのでストレスを感じることはありません。またHD動画の再生もかなり強く、フルHDのTSファイルを再生するという脅威の性能に度肝をぬかれました。


対応ハードが豊富

搭載されているAndroidは基本的にオープンなOSのため、なんでも来いというスタンスです。それはソフトウェアだけでなくハードウェアにも通じています。実はiOSはマウスが使えないんです。iPadが便利だなと思いノートPCのように使おうとしてもマウスカーソルは出てきません。

しかし、Nexus 7はマウスにも対応し、画面にカーソルが出てくるので、キーボードと合わせてノートPCのように扱うことができます。机の上にどっしりと構えて作業をする際に相当便利になります。

Nexus Media ImporterとマイクロUSB OTGケーブルを使えば、USBフラッシュメモリ、外付けHDD、SDカード(microSDではなくフルサイズ)と接続してデータを読み込んだり、あろうことかDVDが再生できるデバイスまで登場するなど、普通に使えるハードからキワモノまで様々なハードに対応しています。


カーナビの代わりになる

7インチで持ち運びやすいので車載するのにも便利ですが、それだけではありません。モバイルルーターやテザリングができるスマートフォンとの連携が前提ですが、Nexus 7はナビ代わりになります。

GPS機能を搭載しているのでGoogleナビで音声ナビゲーションが可能で、無料で最新の地図が使えるためナビ顔負けです。

すでに何回かナビ機能を使用していますが10万以下のナビとなら十分に張り合える性能といえるレベルです。もちろんカーナビのように動画や音楽も再生できますのでカーナビいらずといってもいいかもしれません。


ここが弱いNexus 7

かなり推しているNexus 7ですが弱点がないわけではありません。まず、カメラですが、リアのカメラがないのでビデオチャットができても普通のデジカメの代わりにはつかえません。

また、便利なQRコードやバーコードを読みこんで情報を表示するアプリや、名刺を読み込んで関するアプリも当然使い勝手が悪く、フロントカメラで使えないことはないものの実用レベルにはほど遠いです。

次に、外部映像出力が無いため、プロジェクターやデジタルテレビ、PC用のモニターに映像を映すことができません。大規模なプレゼンテーションに使う場合はNexus 7は役不足といえます。

バックアップ環境についてもiPad miniと比べると不安があります。iPad miniというかiOSが丸ごと環境含めバックアップを取る機能が用意してあるのに対して、Nexus 7は良くてファイルレベルです。

最後に通信ですが、Wi-Fiのみで3G回線やLTEに対応していません。ネットに繋ぐにはWi-Fiルーターやモバイルルーターを用意する必要があります。

また、Wi-Fiのリンク速度は他の2台と違いチャネルボンディング(通常の倍の40MHz幅で通信する機能、ルーターが対応していないと使えない)に対応していないので最高65Mbpsと最も遅いリンク速度となっています。


Nexus 7が向いているタイプ

自分で必要なアプリを探してきてインストールする、設定を墨まで弄くりまわす、気にくわない部分はカスタムして改善するなど、ユーザーに環境を合わせるタイプに向いています

また、Googleのサービスと連携がiOSよりも簡単に取れるためGmail、Chrome、googleカレンダー等を活用している人や、Androidスマートフォンを使っている人はすでにGoogleのサービスを活用しているので、Androidスマートフォン使いのひとにも操作に迷わないという点を含め向いています。

重箱の隅をつつくような設定の細かさが売りですので、パソコンやスマートフォンではプリインストールのアプリ以外はインストールしていない、もしくはほとんど使わないという人にとっては、自由度が高すぎて難しく感じるのでお勧めしません。


スペック

OS Android 4.1 Jelly Bean
CPU NVIDIA Tegra 3 1.3GHz クアッドコア
サイズ 198.5 × 120 × 10.45 mm
重量 340 g
バッテリー容量 4325 mAh
稼働時間
・HD 動画再生:9 時間
・ウェブ ブラウジング:10 時間
・読書:10 時間
・連続待受時間:300 時間
インターフェース Micro-USBコネクタ
内蔵メモリ メモリ 1GB
ストレージ 16GB(国内仕様)
Bluetooth 3.0+EDR
ディスプレイ IPS液晶 傷に強いコーニング社製ガラス採用
解像度 WXGA (1280x800 px) (216 ppi) 7インチ
無線LAN IEE802.11 b/g/n
背面カメラ 無し
サブカメラ 120万画素
マイク 有り
NFC 搭載
加速度計 搭載
GPSセンサー 搭載
磁力計 搭載
ジャイロスコープ 搭載
カラーバリエーション 黒のみ
7 インチ 1280 x 800 HD ディスプレイ (216 ppi)
バックライト付き IPS ディスプレイ



iPad mini

●完成度の高さが売りのApple iPad mini


スマートフォンやタブレット市場をビジネスでなはなくプライベート用に開拓したAppleの製品だけあって、その実力と完成度は非常に高い位置にあります。現に今でも市場に大きなシェアを持っており、iPad 対 数多のAndroidタブレットという不利な状況にあっても、そのシェアは維持され続けています。

そんなAppleが発売するiPad miniの完成度はやはり高いものと予想されます。


高次元の完成度

AndroidはOSとハードを設計するメーカーが別々ですが。iPad miniを含めAppleの製品はAppleがOSとハード両方を設計してるため、その完成度は別次元です。

今まで市場に出てきたAppleのモバイル端末といえば、横置き、縦置きに切替えたときの画面表示の追従性。処理性能だけでは実現できない、手に吸い付いているのかと錯覚するレベルの操作追従性。アプリレベルまで統合されたユーザーフェースによる操作性の向上。すべてが高い次元に存在しているものばかりでした。

「妥協を許さない」とも捉えることができるこの完成度は、Appleというブランドを表しているともいえます。もちろんiPad miniでも、このレベルの完成度で出してくるのは間違いないでしょう。


盗難や紛失時も安心のセキュリティ

モバイルで恐いのが盗難や紛失です。プライベートな情報が満載されているだけあって、それらの情報が悪用されないか不安になります。

しかし、iPad miniに搭載されているiOSは端末がどこにあるのか、PCから検索して見つけることもできますし、遠隔操作でデータを消去したり、ロックをかけて操作不能にするなどセキュリティに万全の備えがしてあります。


最大64GBの大容量内蔵ストレージ

iPad miniは16GB、32GB、64GBの異なる内蔵ストレージ容量のモデルが用意されています。動画や音楽を詰め込むだけ詰め込みたいという欲張りな人には64GBという選択肢が用意されているのは大きなメリットです。

Nexus 7は現在国内仕様が16GBで今後32GBモデルが出ると予想されていますが、64GBモデルの予定はありません。


3Gだけでなく次世代モバイル通信規格LTEに対応

iPad miniはWi-Fiモデル以外にも3G回線やLTEという4G回線に対応しています。外出時に通信しようにもNexus 7やKindle Fire HDは単体ではどうしようもありません。モバイルルーターやテザリング対応のスマートフォン経由でインターネットに接続する必要があります。

しかし、  iPad miniは単体でインターネットに接続することができます。契約はauとソフトバンクになる予定ですが、通信速度と範囲を求めるのであればau、ランニングコストのみを考えるのであればソフトバンクで契約がいいと思います。


可能性はあるのか?7.9インチディスプレイ

中型タブレットといえば7インチという常識を覆そうとしているiPad mini。経営者としてタブレット市場を見ればその選択をした理由はわかるものの、実際ユーザーが使って便利なサイズなのかという疑問が生まれてきます。

画面が広いのはいいことなのですが、逆に捉えれば筐体サイズが大型化しているともいえます。Nexus 7と比較した場合、横に約15mm幅が広くなるのですが、これが吉と出るか凶と出るか実機を触るまでは未知数です。


ここが弱いiPad mini

やはり、PCのようにファイルを管理できないという点は非常に不満です。アプリ同士で連携はできるものの、一元化できないことも多く、ファイル管理アプリのGoodReaderが必須の状況はこれからも続くでしょう。

Androidと同等のウィジェット機能は未だに搭載されていませんし、ホーム画面のカスタムも限定的で設定を詳細まで変更することはできません。かゆいと思ったところに手が届かないのがiOSなのです。

ハードウェアではキーボードは使えますがマウスは使えません。Wi-Fi版にはGPSが無いからといってGPSレシーバーを接続して使うことも許されてはいませんし、仮に3G・LTE版でGPSが付いていても便利なGoogleナビはiOSには提供されていません。残念ですがマップアプリでは簡易ナビレベル止まりです。

ブランドを傷つけないためにグレーゾーンに位置するアプリや、アダルト要素の強いアプリは一切排除しています。クリーンと言えば聞こえはいいでしょうがNexus 7と比べると閉鎖的と捉えることができます。

意外にも、画面表示の精密さの指標となるピクセル密度が一番低いのがiPad miniでした。Appleのモバイル端末といえば高精度で綺麗というイメージでしたが、iPad miniはそのイメージで購入すると裏切られるかもしれません。


iPad miniが向いているタイプ

基本的にアプリはプリンストールしているものを使っている、もしくはメジャーなものしかインストールしていない。設定はあまり変更しないという、環境にユーザーが合わせるというタイプに向いています

iOSはプリインストールされているアプリの完成度は高いものが多いです。あとはGoodReaderでも入れ、メジャーなアプリで固めれば完成という具合です。

グレーゾーンに位置するアプリや、アダルト要素の強いアプリを排除している点、そして、アプリの起動制限やインストール制限をかけることが可能なので子供に与えるには完全とはいえませんが、3台の中で最も向いているタブレットといえるでしょう。

重箱の隅をつつくような設定でカスタマイズを極めたいひとには逆に設定項目少なく、カスタムできる幅が狭いので満足することはないでしょうからお勧めはできません。

7.9インチディスプレイの可能性というものを実際に手にとってみてみたいので、26日に即予約をする予定です。順調にいけば来月レビューとなるはずですのでご期待ください。


スペック

色 ホワイト ブラック
モデル Wi-Fi Wi-Fi+3G&4G
高さ 200 mm 幅:134.7 mm 厚さ:7.2 mm
重量 308g(Wi-Fi) 312g(Wi-Fi+3G&4G)
容量 16GB・32GB・64GB
通信 802.11a/b/g/n(3G&4Gモデルは国内キャリアの回線)
Bluetooth 4.0
ディスプレイ IPS 7.9インチ LEDバックライト マルチタッチディスプレイ
1,024 × 768ピクセル(163 ppi)
CPU A5デュアルコア
Webカメラ 1.2Mピクセル
リアカメラ 5Mピクセル
16.3Whリチャージャブルリチウムポリマーバッテリー
稼働時間
 インターネット、ビデオ再生、オーディオ再生 10時間
 3G&4Gモデルで3G&4G回線を使用してインターネットを利用 9時間
Lightningコネクタ(充電・通信・拡張兼用)
3.5mmステレオヘッドフォンミニジャック
内蔵スピーカー(モノラル?)
マイクロフォン端子
3軸ジャイロ 搭載
加速度センサー 搭載
環境光センサー 搭載
GPS Wi-Fiモデルは非搭載

Kindle Fire HD


●未知数だが低価格で可能性を秘めたAmazon Kindle Fire HD


米国では1年前からKindle Fireが発売されているのですが、よいよKindle Fireと共にKindle Fire HDも日本に上陸してきました。3台の中で最もコンテンツ販売に特化したタブレットなのですが、そのコンテンツが日本向けになってどこまで通用するのか?全くの未知数のためダークホース的存在として期待が高まります。


実はAndroidベース

AmazonがカスタマイズしてAmazonのコンテンツ販売に特化した作りになっているとはいえ、Kindle Fire HDのOSはAndroidです。よって、AndroidアプリがKindle Fire HDでも使えます。

ただし、問題はアプリをどうやって入手するかです。AmazonでKindleストアなるものを用意する予定ですが、やはりGooglePlayが使えないと不便なところです。しかし、Kindle Fire HDでGoogle Playが使える可能性は低そうです。

最も低価格

16GBモデルを15,800円という低価格で発売するに至ったのは、やはり最後発だからでしょうか。大手メーカーのタブレット端末が15,800円で買えるというのは大きな魅力でもあります。

最悪Amazonコンテンツが使い物にならなくとも、Androidタブレットとしての使い道も残されているので、中途半端な中華タブレットを買うのであれば、Kindle Fire HDを買った方がお得ということになるかもしれません。


ここが弱いKindle Fire HD

CPUが比較的価格帯の低いタブレットに採用されるOMAP製とあって性能に不安が付きまといます。実際に海外の動画レビューを見るとカクつく場面がみうけられたとの話もあり、ハードウェア性能が不足している可能性が高いです。

通信はWi-Fiのみとなっているので、外出時にインターネットへ接続するには、モバイルルーターやテザリング対応のスマートフォンが必要になります。

Androidタブレットの亜種ではありますが低価格化のためかGPSは装備されていません。Googleナビが用意されているとも思えませんが、カーナビの代わりには使えないでしょう。

本を購入して読むからといってKindle Fire HDという選択肢はあり得ません。Nexus 7でもiPad miniでも本を買って読むことは当たり前のようにできます。逆にコンテンツの完成度が未知数のため買ったはいいがコンテンツが微妙という可能性もあります。


Kindle Fire HDが向いているタイプ

未知数過ぎてどのようなタイプに向いているかといえば、現状では、私のようなアーリーアダプターという存在に向いているとしかいいようがありません。地雷だとしても踏みに行く覚悟がある人にのみお勧めしておきます。

未知数過ぎて興味津々なので12月の発売に合わせて予約をします。今後のレビューにご期待ください。

ちなみに、下位のタブレットのKindle FireはKindle Fire HDの廉価版で、性能的にこの3台と張り合うことはできません。


スペック

CPU TI OMAP 4460
OS Android4.0ベースカスタム
ディスプレイ IPS 7インチ 静電容量性10点マルチタッチ 解像度1280x800
サイズ 193 mm x 137 mm x 10.3 mm
重量 395g
容量 16GB (使用可能領域約12.6GB)または32GB (使用可能領域約26.9GB)
稼働時間 11時間以上連続使用可能(ビデオや音楽の視聴、読書などの使用時)
充電時間 Kindle PowerFast充電器で4時間で充電可能・同梱のUSB電源ケーブル経由でPCから充電した場合約10時間
Wi-Fi接続 802.11a、802.11b、802.11g、または802.11n
入出力 USB2.0ポート(マイクロB コネクタ)マイクロHDMIポート(マイクロDコネクタ)
オーディオ 3.5mmステレオジャック
ステレオスピーカー
環境光センサー 搭載
アクセロメータ 搭載
ジャイロスコープ 搭載
GPS 非搭載
フロントHDカメラ 搭載
リアカメラ 非搭載
マイク
Bluetooth バージョン不明