Intel SSDといえば登場時は高価で高性能という高嶺の花的存在で、指をくわえて見ているだけだったのですが、今では120GBの330 Seriesが1万円を切るどころか8千円程度で買えるまで安くなっています。もちろん価格は下がっても性能はIntelクオリティ、人気にならない理由が無いといっていいIntel SSD 330 Series SSDSC2CT120A3K5を今回は徹底的に調べ上げていきます。
パッケージはIntel SSDシリーズ恒例のデザインとなっています。文字を見ないとどのシリーズか見分けが付きません。他にも320シリーズとかもありますので店頭でパッと見ただけだと見間違えそうです。パッケージを手にとって購入する際は要注意かもしれません。
パッケージを眺めてみると3年保証と書いてありました、フラッグシップモデルの530シリーズが5年保証なので低価格モデルらしい設定です。ちなみに競合機種も保証期間はほとんど3年となっています。
また一部の小売店を対象として8月31日まで金のSSD等が当たるキャンペーンをやっているようです。パッケージに貼られているシールのナンバーをこちらの応募サイトに入力するとプレゼントに応募できます。あまりケバイのは好きではないのですが520シリーズなのでレビューのネタになりそうだと応募してみました。
内容物一覧
Intel SSD 330 Series SSDSC2CT120A3K5本体
5インチブラケット
インチネジ×5
ミリネジ×5
SATAケーブル(SATA3.0対応)
ペリフェラル4pin-SATA電源変換コネクタ
インストールマニュアル(紙・CD-ROM)
ステッカー
素っ気ない感じの3.5-5インチブラケットですが有ると無いとでは大違いです。
SSDの固定に使うのはミリネジですが、ブラケットのサイドと下はインチネジになっています。DELL等の一部のケースでは専用のインチネジを使いますがこれなら対応できます。
そのブラケットに使うネジがコレです。別になんの変哲もないミリネジとインチネジです。4個で事足りるのですが、1個余分に付けてあるようです。
古いパソコンやSATA電源に余りが無いパソコンでも使えるようにペリフェラル4pin-SATA電源変換コネクタが付属しています。SATAケーブル(SATA3.0対応)も付いてくるという至れり尽くせりなセット内容です。
CD-ROMはあくまでもインストレーションガイドと保証内容についてPDFのデータが入っているだけです。移行ソフトは同梱されていませんがCD-ROMの表面に気になる記述があります。
この価格帯でこれだけおまけが付いているのは珍しいです。買ってすぐに使うには移行ソフトさえあれば完璧ですが、実は指定されたURLを入力することで移行ソフトをフリーでダウンロードすることができます。コレについては後で詳しく説明します。
肝心の本体はこちらです。パッケージと同じくIntel SSD恒例のデザインです。
厚みは9.5ミリ厚でCrucialのSSDのようにスペーサーを外して後から厚みを変更することはできません。
裏面はいつもの通り荒れた表面になっています。
重量は76gとなっています。
ベンチマークテスト
それでは待望のベンチマークテストに入ります。その前にこのIntel SSD 330 Seriesのメモリコントローラー特性について少し話しておかないといけません。
Intel SSD 330 SeriesはSandForce製のメモリコントローラを搭載しているのですが、このSandForce製のメモリコントローラーはデータを圧縮して転送するため扱うデータにより転送速度が激変します。
ベンチマークの中には圧縮の効きやすいデータののみの転送速度しか表示しないものもあり、その場合は高速ですが圧縮が効きにくいデータでベンチマークをすると速度が激減してしまうという現象が出てきます。
そのため他社製のメモリコントローラーを搭載したSSDと比較しにくいという問題があります。
詳しくはこちらに書いてありますので気になる方はチェックしてみるといいかもしれません。
CrystalDiskMark 3.0.1 x64
圧縮の効きにくいランダムデータの場合は遅いのですが、圧縮の効きやすい0Fillと1Fillが高速というSandForce製のメモリコントローラの特性が出ています。
後、OSをインストール後のランダムデータで4KQD32が半減しているのが気になります。パーティションアライメントは整えてあるので問題は無いはずなのですが、何が原因なのでしょうか。
AS SSD Benchmark 1.6.4237.30508
スペック上では4KBランダムリード42,000 IOPS、4KBランダムライト52,000 IOPSとなっていますが、4K-64Thrdを見てもスペックには届いていません。
AS SSD Benchmarkは圧縮の効きにくいデータを使用しているようでライト性能にその症状が確認できるのですが、もし圧縮の効くデータで計測することができるのであればスペック通りの数値が出てきたかもしれません。
ここでもOSインストール後に一部の数値が減少しているのが見受けられます。
ATTO Disk Benchmark V2.46
(左がOSインストール前、右がOSインストール後)
ATTO Disk Benchmarkは圧縮の効きやすいデータを使用しているためスペック以上の性能を表示しています。また、OSインストール後の数値の落ち込みもありません。
HD Tune V2.55
HD TuneではOSインストール前の計測で最初に謎の谷ができています、これは何回やっても出てきたもので外的な要因があるとは思えません。 HD Tune V2.55
また、OSをインストールした状態で計測すると今度は山ができていますが、これには思い当たる節があります。
ちょうどSSDの使用容量を境に山ができているので、使用している領域は実データを、空いている領域には圧縮の効きやすいデータを使い計測をしている可能性があります。
この仮説が正しければ、使用領域のグラフのバラツキが大きいのが納得いきます。
計測PC
MB: ASUS P8Z68-V
CPU:Intel Core i7 2600K
RAM:A-DATA AX3U1600GC4G9-2G 2セット(16GB)
VGA:玄人志向GF-GTX570-E1280HD
VGA: 玄人志向GF-GTX570-E1280HW/FJ
PSU:ENERMAX EMG900EWT
OD:Pioneer BDR206JBK
SSD:PLEXTOR M3Pro PX-128M3P(OS未インストール計測時)
HDD:WD WDC WD5000AAKS-00V1A0
CASE:Lina-Li PC-V2100 PLUS II(BK)
FAN:12cmケースファン×6
CPUクーラー:Corsair Hydro H60
FC:Scythe 風Q
SU:M-Audio DELTA1010
OS:Windows7 Profesional 64bit
古いパソコンでベンチマーク
※全てOS移行後の計測
さすがにSATA2.0(3Gbps)環境だと速度は落ちますが、元のHDDから比べるとかなり動きが軽くなりました。性能を考えるともったいない感じもありますが、価格を考えたら古いパソコンで使ってもいいかなと割り切れるのではないでしょうか。
計測PC
DELL Vostro200
Windows XP Professional 32bit
Pentium Dual-Core E2140
Pulsar DCSSDDR2-2GB-800(1GB×2枚)
その他メーカ出荷状態
実際に使ってみた感想
実際の所ベンチマークでSandForce製のメモリコントローラの癖が出てきいるのですが、実際にOSをインストールして使ってみるとMarvell製のメモリコントローラーと大差がありません。
OSの起動も変わらず、普段通りに使ってみても別に差を感じることがありません。OSのデータも全て圧縮が効かないというわけでもないので、最低のベンチマーク結果と同じ転送速度で動くわけでもないということです。
ただデータドライブとして使う場合はSandForce製のメモリコントローラの癖が顕著に現れると思われます。扱うデータがJPEGや音楽ファイル、動画ファイルであれば尚更圧縮が効きにくいので、特にMarvell製のメモリコントローラーを搭載したSSDをデータドライブとして使っていた場合には差を感じるかもしれません。
実は移行ソフトが付いていた!
Intel SSD 330には移行ソフトは付属していませんが、移行ソフトをダウンロードして使う権利が付いています。
そのソフトはIntel Data Migration Softwareですが、実は中身は有料SSD移行ソフトでは定番となっているAcronis True ImagのOEM版です。
過去にAcronis True ImagのOEM版を使ったことがありますがパーティションアライメントを自動的に調整してくれるのでSSDのパフォーマンス低下を気にする必要がありません。
もちろんIntel Data Migration Softwareはフリーで使えるので移行する際に使って損はないでしょう。
ダウンロードはhttp://www.intel.com/support/go/ssdinstallation/からできますが、インストール及び起動して使うにはIntel製SSDがパソコンに取り付けられている状態でないとできません。
PLEXTOR PX-128M3PについてきたAcronis True ImagのOEM版はこのような制限が無いため、他メーカーのSSDの移行だけでなくHDDからHDD等好きに使えましたがIntel Data Migration SoftwareはIntel SSD専用と割り切ってあります。
Intel Data Migration SoftwareはOEM版といっても機能は移行のみに特化しているので、GUIもAcronis True Imagとは違い操作しやすくなっています。
開始ボタンを押すと、初期状態(パーティションを切っていない状態)のSSDを移行先として認識して自動的にパーティションを調整してくれます。
この後今すぐクローンを作成ボタンを選択すると・・・
処理の進行状況が出てきて、再起動を促されます。
再起動後SSDへデータが転送されていきます。(画面はWindows 7のもの、XPの場合はバックが青色です)
この画面が出たら移行は完了です。キーを押して電源を切り、元のディスクを取り外してIntel SSDを残して起動すればいつも通りに起動するはずです。
移行先のSSDがパーティション作成済みの場合
新しいSSDを取り付けてパーティションを作成してしまうと上記とは違い少し操作が変わってきます。間違ってパーティションを作成してフォーマットしてしまった場合など参考にしてください。
開始ボタンを押すと自動と手動の選択画面が出てくるので自動を選択して進みます。
次にOSのインストールしてあるディスクを選び次へ
そして移行先のSSDを選択して進みます。
実行後に処理の進行状況が出てきて、しばらくすると再起動を求められるので再起動ボタンを押します。
この画面は初期状態の移行と同じです。
この画面が出たら移行は完了です。キーを押して電源を切り、元のディスクを取り外してIntel SSDを残して起動するだけです。
もちろんパーティションアライメントは調整済みになっています。
まとめ
9.5mm厚のみのため一部のノートパソコンで使えないという点がありますが、フリーで使える移行ソフトやケーブル類やブラケットなど、HDDからSSDへの移行に必要なものが全て揃っている点は、この価格でよくやってくれたと評価できる点です。
SandForce製のメモリコントローラの癖もOS用にシステムドライブとして使うのであれば特に癖も出てこず、ライバルであるMarvell製のメモリコントローラー搭載SSDと比較しても差を感じることはありませんでした。
8千円という価格で高速、おまけは至れり尽くせりと確かに人気のSSDだけあると感じる内容でした。
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