Corsair_Hydro_Series_H60

水冷といえば空冷と比較にならない冷却性能でオーバークロックを楽しむ人やUVライトとそれに反応する冷却水を組み合わせ派手なパソコンを組上げたりとヘビーユーザー向けのものとなっていました、しかしその代償にメンテナンスが必要で冷却水の補充や水漏れの確認など気を使う必要がありました。

しかしそれも過去の話、現在ではCPUのみですがメンテナンスフリーで水冷の強力な冷却性能を手に入れることが出来るようになりました、そんな簡易水冷キットの分野を切り開いたCorsairから発売されているHydro Series H60を購入してきました。
Corsair_Hydro_Series_H60パッケージ

数ある簡易水冷キットでサイズのAPSALUS 120を当初導入予定でしたがビデオカードの不調に始まり電源交換を経てSLI 2-Wayへとスペックを強化してしまい冷却性能を確保しないといけないということでAPSALUS 120よりも冷えるであろうCorsair Hydro Series H60へと変更しました。

Corsair_Hydro_Series_H60内容物一覧

内容物一覧
ラジエター・ポンプ一体型CPUクーラー、12cmケースファン、LGAソケット用バックプレート、AMソケット用パーツ、ネジ類、マニュアル

実はAPSALUS 120はCorsair Hydro Seriesの前のモデルのOEMという情報があり実際パーツ構成も同じ内容のものとなっているようです。

Corsair_Hydro_Series_H60水枕

だったらAPSALUS 120の方が安いのでお得ではないかと思うかもしれませんが冷却性能には差があります、APSALUS 120はアルミの水枕を使用しているのに対してCorsair Hydro Series H60は銅を使用しています、この差は大きいです。

Corsair_Hydro_Series_H60水枕2

また水枕は小型化してマザーボードのメンテナンス性やヒートシンクへの送風時に邪魔になりにくいようになっています。

LGA用バックプレート

LGAソケットにはバックプレートを使用しますのでマザーボードを取り外す必要があります、できるなら最初に組上げる時点で取り付けておいた方が無難でしょう、AM2・3ソケットは水枕に付属のパーツに付け替えれば取り付けが出来ますので組み上げた後でも簡単に取り付けができます。

Corsair_Hydro_Series_H60ラジエター

ラジエターはまさに車のそれとそっくりです、これに付属のケースファンを取り付けてケースへと装着することになります。

Corsair_Hydro_Series_H60ケースファン

付属のケースファンは12cmで最大1700rpmで動作します、さすがに最大回転数だと騒音値は30.2 dBAとうるさいですがマザーボードのファンコントロール機能で普通は最大回転数で回ることはありません、1000rpmあれば静かで十分にCPUは冷えます。

Corsair_Hydro_Series_H60ケースファンケーブル

コネクタはPWM対応の4ピンなので幅広い回転数に対応します。

Corsair_Hydro_Series_H60ホース

メンテナンスフリーを実現するために低浸透性のホースを採用しているのですがこのホースが堅く取り付けには苦労しました、てっきりゴム製かと思いましたが言葉そのままプラスチックです。

ハイエンド空冷

ハイエンド空冷といえばそのサイズの大きさ故にメンテナンス時に非常に邪魔になることがあります、前のパソコンではメモリを交換するにも電源を交換するにもCPUクーラーを毎回取り外さないといけないため非常に手間がかかりました。

水冷でスッキリ

簡易水冷にするとこのようにスッキリとしてメンテナンス性の向上だけではなくチップセットやメモリにも風を当てやすくなり高負荷時の安定性も期待できます。

曲がっている・・・

一部だけ触れている

ただしLGA775ではマザーボードとの相性かフィッティングに難がありマザーボードが曲がってしまいました、この状態では冷却用のプレートが完全にCPUに触れていないため冷却性能が低下します。

室温プラス40℃

この状態でCore 2 Quad Q8200のストレステストをしてみましたが室温プラス40℃と完全な状態ではないにも関わらず冷えています。

テーブルテスト

ということで本来取り付けるCore i7 2600Kに取り付けてその性能を比較してみました、今回はケースに組み込まずテーブルの上で仮組した状態での比較です。

ベンチマーク環境
MB:  ASUS P8Z68-V
CPU:Intel Corei7 2600K
RAM:A-DATA AX3U1600GC4G9-2G 2セット(16G)
PSU:Antec EA-650
SSD: Crucial RealSSD C300 CTFDDAC128MAG
OS:Windows7 Profesional 64bit
室温:25℃

リテールクーラーアイドル

まずはリテールクーラーですTDP95WのCPUに不属している割には小さいですがEISTによる省エネ機能でアイドル時はクロックダウンしているので室温プラス10℃とよく冷えています。

リテールクーラー最大負荷

が、負荷をかけるとあっという間に温度が上昇して室温プラス44℃と熱くなってきました。

H60アイドル

次にCorsair Hydro Series H60のアイドル時です、アイドル時はリテールクーラーとさほど変わらない室温プラス9℃です。

H60最大負荷

が、高負荷時になるとその性能が発揮されます、水温はじわじわ上がるのを考慮して20分程度高負荷状態を維持していたのですがそれでも室温プラス30℃とリテールクーラーよりも-10℃以上と水冷の高いパフォーマンスが発揮されました。

確かにCorsair Hydro Series H60にするとCPUの冷却性能は段違いになりますがリテールクーラーと違いチップセットクーラーやメモリには風が当たらずしっかりと冷却できません、そのため取り付けて終わりではなくそれらの冷却をするためにファンを追加する必要があります、今回Corsair Hydro Series H60を採用するにあたり12cmケースファンを追加してメモリとチップセットの冷却用にあてました。

推奨の吸気ではなく排気にして使用

さらに注意点としてCorsair Hydro Series H60の説明書を見る限り推奨の取り付け方法は吸気となっているようです、本来リアのケースファンは排気用として使うのが定番ですが冷えた空気を外から取り入れる必要があるためなのでしょう。

ただし吸気にするか排気にするかはエアフローよるのでいろいろと試してみてベストな方向を選ぶといいでしょう。
今回は排気側で使用していますがケース内部の暖まった空気で冷却して暖まってしまうのでフロントに12cmケースファンを追加してエアフローの強化をしたうえで排気側として利用しています。

もう一点ノイズについてですが取り付けた後最初に起動する際空気を噛んでいるのか水枕から異音がします、しばらくするとこのノイズが消えますから初期不良ではないようです。

まとめ
エアフローの調整や破損時のリスクを考えると安易におすすめは出来ないのですがその冷却性能にはを目を見張るものがあります、静音でハイスペックを目指すなら簡易水冷は強い味方になってくれるでしょう。

空冷ハイエンドCPUと比較すると価格は高めですが十分に価格に見合うだけの冷却性能を持っていますし、本体はメンテナンスフリーで付けっぱなしが可能なうえメモリやコネクタへのアクセス時に邪魔にならないなど空冷ハイエンドCPUクーラーにはないメリットもあるなど利便性の面からも選択肢としては十分アリな一品だと思います。